「調剤併設や24時間営業など、競争が激化するなかで生き残りの道を模索している」
「地域密着型の運営を続けてきたが、大手チェーンとの規模差に限界を感じている」
この記事では、ドラッグストア業界におけるM&Aの成功事例や価格相場、仲介会社の選び方について詳しく解説します。今後の事業展開を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ドラッグストア業界のM&Aとは
ドラッグストア業界のM&Aとは、ドラッグストアを運営する企業同士が合併や買収を通じて、経営権や店舗を引き継ぐことを指します。店舗の拡大や人材の確保、競争力の強化などを目的に行われることが多く、特に大手企業が中小の店舗を買収するケースが増えています。
一方、後継者不足や経営の将来に不安を抱える中小企業にとっても、M&Aは事業を継続させる手段として活用されています。買収側は、立地や人材、調剤サービスの有無などを重視して判断します。
業界全体で競争が激しくなる中、M&Aは事業拡大や経営の安定を図るうえで、ますます重要な手段となっています。
ドラッグストア業界のM&Aと他業界の違い
ドラッグストア業界のM&Aは、医薬品だけでなく、食品や日用品など幅広い商品を扱う点が特徴です。コンビニやスーパーとも競合するため、M&Aでは店舗数の拡大に加え、品ぞろえや物流体制の強化も重視されます。
また、薬剤師や登録販売者などの有資格者が必要なことから、人材の確保も他業界より重要です。買収の際は、スタッフの人数や資格の有無が大きな評価ポイントになります。
さらに、業界全体で再編が進んでおり、大手による中小店舗の買収が活発です。このような再編のスピードや寡占化の傾向は、製造業やIT業界と比べて顕著です。
医薬品のネット販売や規制緩和への対応も求められるため、デジタル化やIT基盤を持つ企業との連携も重要なテーマとなっています。
このように、ドラッグストア業界のM&Aは、商品や人材、規制への対応など、他業界にはない特徴が多く、独自の視点での検討が必要です。
ドラッグストア業界のM&Aの価格相場
ドラッグストア業界のM&Aは、企業の規模や財務状況、薬剤師などの有資格者の数、調剤の実績、地域での知名度などをもとに価格が決まります。明確な定価はなく、売り手と買い手の交渉で最終的な金額が決まるのが一般的です。
中小規模の取引では、1億〜10億円程度が目安とされており、大手同士のM&Aでは数百億円規模に達することもあります。
価格は主に以下の3つの要素で構成されます。
- 店舗の純資産(在庫や現金などから負債を引いた金額)
- 営業権(ブランドや立地、顧客基盤などの価値)
- 調剤報酬の実績(処方箋の取扱数など)
これらに加えて、将来的な利益やシナジー効果が見込める場合は、さらに価値が上乗せされることもあります。
交渉内容や店舗の特徴によって価格は大きく変わるため、専門家に相談しながら進めることが重要です。
ドラッグストア業界のM&Aの事例
近年、ドラッグストア業界では競争の激化や人材不足を背景に、企業同士の統合が加速しています。大手による寡占化や地域密着型店舗の吸収など、さまざまな形でM&Aが行われており、その動向は業界全体に大きな影響を与えています。
ドラッグストア業界のM&Aの事例は以下のとおりです。
以下では、実際に行われたM&Aの具体的な事例を紹介し、それぞれの背景や特徴を見ていきましょう。
事例1. ウエルシアホールディングスによる金光薬品の買収
2019年、ドラッグストア大手のウエルシアホールディングスは、岡山県を中心に店舗展開していた金光薬品を子会社化しました。金光薬品は、調剤薬局を併設した店舗を多数運営しており、地域に根ざしたサービスで知られていました。
この買収により、ウエルシアはこれまで手薄だった中国地方への出店を一気に進めることができ、店舗網の拡大と地域シェアの強化を実現しました。さらに、金光薬品が持つ地域密着のノウハウを活かすことで、サービスの質向上にもつなげています。
両社の強みを組み合わせることで、エリア戦略と顧客満足度の両面を強化した、戦略的なM&A事例といえます。
事例2. ココカラファインによる薬宝商事の子会社化
2020年、ドラッグストア大手のココカラファインは、神奈川県川崎市で調剤薬局を運営していた薬宝商事を完全子会社化しました。薬宝商事は、地域密着型の薬局として長年信頼を築いてきた企業です。
この買収により、ココカラファインは神奈川県内での基盤を強化し、地域に根ざしたヘルスケアサービスの拡充を図りました。薬宝商事が持つ地元での信頼やノウハウを活かすことで、よりきめ細かなサービス提供が可能になりました。
小規模な調剤薬局を取り込むことで、地域密着戦略を推進しながら、店舗網の拡大と顧客満足度の向上を実現したM&A事例です。
事例3. ココカラファインとマツモトキヨシホールディングスの経営統合
2021年、ドラッグストア大手のココカラファインとマツモトキヨシホールディングスは、共同で持株会社「マツキヨココカラ&カンパニー」を設立し、経営統合を行いました。統合前の両社はそれぞれ1,000店舗以上を展開しており、統合後のグループ全体では約3,000店舗、売上高は1兆円を超える規模となりました。
この経営統合により、商品の仕入れや物流の効率化、会員制度の統一、デジタル戦略の強化など、多くの相乗効果が期待されています。両社の強みを活かすことで、業界内での競争力を一層高める狙いです。
業界最大級の統合として注目されたこの事例は、ドラッグストア業界の再編を象徴する動きといえます。
ドラッグストア業界のM&Aにおすすめの仲介会社・サービス
ドラッグストア業界でM&Aを成功させるには、業界特有の知識や実績を持つ仲介会社のサポートが欠かせません。
ドラッグストア業界のM&Aにおすすめの仲介会社・サービスは、以下のとおりです。
ドラッグストア業界でM&Aを検討しているものの、どの仲介会社に依頼すべきか迷っている方におすすめなのが「M&A比較ナビ」です。業界に詳しい仲介会社の中から、自社の規模や希望条件に合った最適な相手を無料で紹介してもらえるため、初めてでも安心して相談できます。
アウナラ

会社情報 | 詳細 |
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サポート内容 | ・薬局M&A仲介 ・薬局特化型支援 |
サポート体制 | ・人材紹介 ・税理士法人紹介 ・医師薬剤師開業支援 ・薬局運営支援 ・コスト適正化支援 ・インフルエンサー活用支援 |
料金体系 | 売り手には一切料金が発生せず、完全無料で譲渡可能 |
特徴 | ・薬局M&A仲介で培った豊富な求人 ・現場~経営層まで、幅広いご相談、ご提案実績を持っている ・キャリアアドバイザー、企業担当も薬局および医療業界経験者をアサイメント |
運営会社 | 株式会社アウナラ |
URL | https://aunara.jp/ |
アウナラは、調剤薬局やドラッグストアに特化したM&A仲介サービスです。業界の知識を持つ専任アドバイザーが在籍しており、初めての方でも安心して相談できます。
特徴は、売り手側の手数料が完全無料であることと、高い成約率を誇っている点です。小規模な薬局の売却にも対応しており、「規模が小さくても本気でサポートしてくれる」と評価されています。
相談から成約まで一貫して支援してくれるため、専門知識がなくてもスムーズに手続きを進められます。ドラッグストア業界でM&Aを検討している方にとって、信頼できる選択肢のひとつです。
若い世代に引き継げて安心した。これからは薬局を経営している時にできなかった夫婦旅行や趣味に時間を費やしたい
引用:成功事例
アウナラについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
アプト

会社情報 | 詳細 |
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サポート内容 | ・売り手・買い手の紹介 ・売り手・買い手のマッチング ・売買価格の算定サポート ・契約条件の調整 ・デューディリジェンス・サポート ・クロージング・サポート |
サポート体制 | ・M&Aをワンストップでサポート |
料金体系 | 要問い合わせ |
特徴 | ・医療業界のM&A経験を生かし、調剤薬局・クリニックの事業承継を支援 ・M&A仲介だけでなく、クリニック開業支援や医師・薬剤師の人材紹介も提供 |
運営会社 | 株式会社アプト |
URL | https://www.apto-m.co.jp/ |
アプトは、調剤薬局やドラッグストアのM&Aに特化した仲介会社です。医療・薬局業界に強みを持ち、これまで多くの事業承継や売却をサポートしてきた実績があります。
特徴は、売り手と買い手の両方に対応できる体制と、取引の最初から最後まで一貫してサポートしてくれる点です。秘密保持や専門的な手続きにも丁寧に対応しており、安心して相談できます。
また、薬剤師の転職支援も行っているため、M&A後の人材フォローも含めた支援が受けられます。小規模な薬局の売却を考えている方にも利用しやすいサービスです。
CBコンサルティング

会社情報 | 詳細 |
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サポート内容 | ・事業承継・M&A ・経営支援 ・開業支援 |
サポート体制 | ・丁寧なヒアリングの上で活用プランを提案 ・薬局の事業拡大や新規参入などを「M&A(譲受)」により支援 ・契約締結完了後には新たな体制への移行までをサポート |
料金体系 | 完全成功報酬制 【成功報酬】 5億円以下の部分:5% 5億円を超え10億円以下の部分:4% 10億円を超え20億円以下の部分:3% 20億円を超える部分:2% ※最低手数料2,500万円 |
特徴 | ・経営の”バトン”と地域医療の”想い”を引継ぐ成長戦略を実施している ・グループ累計1,400件以上のM&A成約実績 |
運営会社 | 株式会社CBコンサルティング |
URL | https://www.cbconsulting.co.jp/ |
CBコンサルティングは、調剤薬局やドラッグストアに特化したM&A仲介会社です。20年以上の実績があり、地域に根ざした薬局の事業承継を多く支援してきました。
地域ごとに専門の担当者がつき、売り手と買い手の希望を丁寧にすり合わせながら、成約まで一貫してサポートしてくれます。薬剤師個人への事業譲渡にも対応しており、「地域に残したい」という想いにも寄り添った支援が可能です。
料金は完全成功報酬型で、着手金や月額費用は一切かかりません。無料の価値算定サービスもあり、相場を知りたい段階でも気軽に相談できます。
迅速な対応と専門性の高さから、ドラッグストア業界でM&Aを考える方にとって、信頼できる仲介会社のひとつです。
私同様の譲渡理由を掲げている経営者はこれまでにも少ないなかで、私の想いを上手く汲み取って譲受先との交渉を進めていただいた手腕には頭が下がる思いもありましたよ。
引用:お客様の声
CBコンサルティング以外にも、複数のM&A仲介会社に相談していましたが、無理に話を進めようとせずに、丁寧に話を聞いて適切なアドバイスをしてくれる、そんな印象が特に強かったからです。私の思いを汲み取り、寄り添ってくれている、そのように感じました。
引用:お客様の声
今日CBコンサルの人が営業に来てタイムリーに「社長手紙でM&Aの直営業とかされてます?偉そうな事言うようですけど受け取った社長さんが気持ち悪がってたんでやめた方がいいすよ!」って言ってきた。
良案件の1つも持ってこんくせに本当に偉そうよね。
話聞いてみるとCBの情報が漏洩しとるんじゃないかって気味悪がってた話なのにどこから目線でうちの営業にケチつけてんの?
普通にイラついたけんすぐ帰ってもらったけどもう会う事はないな🤥引用:X(旧Twitter)
CBコンサルティングについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ドラッグストア業界のM&Aの動向
ドラッグストア業界では、大手チェーンによる買収が活発になっており、業界再編が加速しています。上位5社で市場の約半分を占めるまでになっており、今後も寡占化が進むと見られています。
一方で、後継者不足や薬剤師の人手不足、物価高騰による経営負担などを理由に、中小規模のドラッグストアや調剤薬局が売却を検討するケースも増えています。こうした背景から、地域の個人薬局を買収してグループ化する「ロールアップ型」のM&Aが広がっています。
また、調剤併設型の店舗を強化する動きもあり、大手チェーンはM&Aを通じて調剤部門を拡大しています。今後は、規模の拡大だけでなく、専門性や地域性を活かしたM&Aがより重要になると考えられます。
ドラッグストア業界のM&Aのスキーム
ドラッグストア業界でM&Aを進める際は、取引の形や進め方によって手続きやリスクが大きく異なります。
ドラッグストア業界のM&Aのスキームは以下のとおりです。
以下では、業界特有の事情を踏まえたM&Aスキームの種類や特徴について、わかりやすく解説します。
株式譲渡
株式譲渡は、会社の株主が保有している株式を買い手に譲ることで、経営権を移すM&Aの方法です。会社そのものを引き継ぐため、店舗の許認可や顧客との契約、従業員との雇用関係もそのまま維持されます。
ドラッグストア業界では、法人として運営している店舗の売却に多く用いられています。特に、複数店舗を展開しているチェーン店や、調剤薬局を併設している法人のM&Aでは一般的な手法です。
ただし、買い手は資産だけでなく負債や将来的なリスクも引き継ぐことになるため、事前に財務状況などをしっかり調査することが重要です。
スムーズに事業を引き継げる一方で、慎重な対応が求められるスキームです。
事業譲渡
事業譲渡は、会社全体ではなく、店舗や事業の一部だけを切り離して他社に引き継ぐM&Aの方法です。ドラッグストア業界では、特定の店舗や調剤部門だけを売却したい場合に多く使われています。
この方法では、譲渡する資産や契約、従業員などを自由に選べるため、赤字店舗や不要な負債を除いて譲渡できるのが大きなメリットです。
一方で、契約や許認可を一つひとつ移す必要があるため、株式譲渡に比べて手続きが複雑になりやすいというデメリットがあります。
柔軟に事業を整理したいときや、一部だけ売却して本体は残したいときに適したスキームです。
会社分割
会社分割は、会社の一部事業や資産を切り離し、別の会社に引き継がせるM&Aの方法です。ドラッグストア業界では、複数の事業を運営している企業が、店舗事業や調剤部門だけを売却したいときに使われます。
たとえば、不動産や本社機能を残しつつ、店舗運営だけを引き継がせたい場合に適しています。事業ごとに明確に分けられるため、整理された形で譲渡できるのが大きなメリットです。
分割後に譲渡することで、株式譲渡よりも税制上のメリットを受けられるケースもあります。ただし、手続きは複雑で、事前の準備や専門家のサポートが欠かせません。
特定の事業だけを切り出してM&Aを行いたいときに、有効なスキームです。
合併
合併は、複数の会社が一つの企業にまとまり、法人として統一されるM&Aの方法です。ドラッグストア業界では、同じような規模や事業内容を持つ企業同士が力を合わせて競争力を高める目的で使われます。
たとえば、マツモトキヨシとココカラファインの経営統合は、合併の代表的な事例です。商品や会員サービス、デジタル施策を一体化し、大規模チェーンとしての強みを発揮しています。
合併によって、仕入れコストの削減や業務の効率化が期待できますが、一方で企業文化や組織体制の違いを調整する必要があり、準備や調整に時間がかかるという課題もあります。
業界再編が進む中で、合併は今後さらに注目されるスキームのひとつです。
ドラッグストア業界のM&Aを活用するメリット
ドラッグストア業界では、事業の成長や承継、競争力の強化を目的にM&Aを活用するケースが増えています。以下では、売り手・買い手それぞれにとってM&Aを行うことで得られる主なメリットについてご紹介します。
譲渡側のメリット
ドラッグストアを売却することで、後継者がいない場合でも事業を第三者に引き継ぐことができます。経営から引退したいオーナーにとって、M&Aはスムーズな事業承継の手段です。
また、譲渡によって得た資金は、老後の生活資金や次の事業資金として活用できます。買い手が大手チェーンであれば、従業員の雇用や店舗のブランドが守られる可能性も高く、地域への影響も抑えられます。
譲受側のメリット
買い手側にとっての最大のメリットは、時間とコストをかけずに出店や事業拡大ができる点です。すでに営業している店舗を引き継ぐことで、物件探しや許認可手続きが不要になり、すぐに運営を始められます。
さらに、既存の薬剤師やスタッフもそのまま引き継げるため、人材確保の負担も軽減されます。地域に根ざした店舗を取得すれば、信頼されている顧客基盤も一緒に手に入るため、経営の安定にもつながります。
ドラッグストア業界のM&Aを実施するポイント・注意点
ドラッグストア業界でM&Aを進める際には、一般的な手続きだけでなく、業界特有の視点からも慎重な対応が求められます。以下では、M&Aを成功させるために押さえておきたい重要なポイントや注意点を紹介します。
譲渡側の注意点
ドラッグストアを売却する際は、事前に店舗の財務状況や業務内容を整理し、買い手に正確な情報を伝えることが大切です。情報が不透明だと、交渉が長引いたり、成約に至らない可能性があります。
また、従業員の雇用継続や顧客への対応についても配慮が必要です。買い手が変わっても地域の信頼を損なわないようにすることが、スムーズな引き継ぎにつながります。
売却条件や今後の競業制限についても、後からトラブルにならないよう事前にしっかり確認しておくことが重要です。
譲受側の注意点
店舗を買収する側は、事前に財務状況や契約内容、スタッフ構成などを詳しく調べる必要があります。特に簿外債務や見落とされたリスクがないかを確認することが欠かせません。
また、M&A後すぐに効果が出るとは限りません。業務のやり方や企業文化の違いによって、思うように統合が進まないこともあります。
従業員の離職やモチベーション低下を防ぐためにも、買収後のサポート体制やコミュニケーションの準備をしておくことが大切です。焦らず慎重に進めることで、安定した事業運営につながります。
ドラッグストア業界のM&Aを実施する手順
ドラッグストア業界のM&Aを実施する手順は、以下の通りです。
まず、自社のM&A目的を明確にします。事業承継、地域拡大、調剤部門の強化など目的に応じて、株式譲渡・事業譲渡・合併などのスキームを選択します。この段階で選び間違えると後の手続きや税務対応にも影響しますので、慎重に検討します。
次に、M&A仲介会社や税理士・弁護士などの専門家に相談し、情報開示契約(秘密保持契約)を締結します。そのうえで、自社の状況や希望条件を整理し、M&Aを進める準備を整えます。
仲介会社の選定に迷った場合は、複数の仲介会社から一括で提案を受けられる「M&A比較ナビ」の活用がおすすめです。
企業価値評価を通じて、想定される譲渡価格や条件を整理します。時価純資産価額、営業権、将来キャッシュフローなどを用いた多角的な評価手法で、適切なスキームを選びます。
譲渡・譲受の候補先をリストアップし、業界に精通した仲介会社を通じてアプローチします。ノンネーム資料や企業概要書を使って、非開示情報を守りながら相手との初期交渉を進めます。
候補先と基本条件(価格、スケジュール、条件交付など)について交渉し、基本合意書を締結します。この段階で価格帯や独占交渉期間などが明確化され、実務調整が進みます。
基本合意後、買い手は売り手の財務、法務、税務、ビジネス、従業員資格や行政指導履歴などを調査します。調剤薬局特有の調査項目を含め、リスク把握を徹底します。結果に応じて価格や条件を再交渉することもあります。
デューデリジェンス結果に基づき最終契約書を作成し、立会いや登記、譲渡代金支払い、許認可の引き継ぎなどを実施します。これにより正式な譲渡が完了します。
ドラッグストア業界のM&Aに関するよくある質問
以下では、ドラッグストア業界のM&Aを進めるうえで寄せられることの多い質問とポイントを整理しています。
- 他業種からでもドラッグストアを買収できますか?
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他業種からでもドラッグストアの買収は可能です。ただし、医薬品販売に関する法律により、薬剤師の配置や許認可の取得など、運営には専門的な対応が求められます。
たとえば、外食やアパレル業から参入する場合でも、既存の体制を引き継げるスキームを選べばスムーズに事業を始められます。
こうした法的要件や業界特有の事情を踏まえるには、M&Aの専門家によるサポートが不可欠です。初めての買収で不安がある方は、複数の仲介会社から提案を受けられる「M&A比較ナビ」の活用を検討するとよいでしょう。信頼できるパートナー選びが、買収後の安定運営につながります。
- 調剤薬局を併設している場合、何に注意すべきですか?
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調剤薬局を併設している場合は、薬剤師の確保や薬機法の許認可、処方箋の安定確保に注意が必要です。
薬局は医療機関として扱われるため、通常のドラッグストアとは異なり、薬剤師の常駐や行政の許認可、処方箋の出どころ(門前病院との関係性)など、事前に確認すべき項目が多岐にわたります。
また、薬剤師の確保や医療機関との信頼関係の引き継ぎがうまくいかなければ、収益が大きく変動する可能性もあります。