不動産管理会社のM&Aとは?成功事例・価格相場・仲介会社まで徹底解説

「経営者の高齢化で事業承継が現実的な課題となっているが、身近に後継者が見当たらない」
「人材不足や周辺エリアとの競争激化により、管理戸数の伸び悩みに直面している」

この記事では、不動産管理業界におけるM&Aの最新動向、価格相場の考え方、実際の成功事例、そしてM&Aを成功に導く進め方まで、徹底的に解説します。

M&Aを、長年かけて築いてきたオーナー様との信頼関係や従業員の雇用を守り、事業をさらに発展させるための戦略的な選択肢として捉え、会社の新たな未来を切り拓く一歩を踏み出しましょう。

目次

不動産管理会社のM&Aとは

不動産管理会社のM&Aとは、個別の不動産ではなく、会社そのものを合併・買収する取引です。通常の不動産売買とは異なり、会社が保有する管理物件や従業員、ノウハウ、オーナーとの契約関係といった経営資源を包括的に引き継ぐ点が特徴です。

買い手は事業規模の拡大や安定収益の確保、売り手は後継者問題の解決や創業者利益の獲得を主な目的として活用します。

手法としては、手続きが比較的簡便な株式譲渡が主流であり、事業全体を円滑に承継するための有効な戦略となっています。

不動産管理会社のM&Aと他業界の違い

不動産管理会社のM&Aは、企業の価値評価に「管理戸数」という独自の指標が用いられる点と、安定したストック収益を背景とする取引特性の点で他業界と大きく異なります。

管理戸数や物件の質が収益基盤の強さを示す最重要指標となり、宅建士など専門人材の存在も高く評価されます。また、安定収益は異業種からも魅力的で参入が活発なほか、後継者不足に悩む中小企業が多く、事業承継を目的とした取引が多数を占めることも特徴です。

不動産管理会社のM&Aの価格相場

不動産管理会社のM&A価格相場は、企業の現金創出力を示すEBITDA(営業利益+減価償却費)の6〜8倍が一般的な目安です。買収資金を約6〜8年で回収できるという見込みを意味します。

ただし、倍率は絶対ではなく、管理戸数の多さや収益の安定性、優秀な人材の有無、地域でのシェアなどの要因で変動するため注意が必要です。

中小企業では「時価純資産+営業利益の2〜5年分」という年倍法も参考にされます。最終的な売却価格は、客観的評価を基にした当事者間の交渉で決定されます。

不動産管理会社のM&Aの成功事例

M&Aを実施する際は、他社がどのような戦略を描き、M&Aを成功させているのかを知ることが重要です。

不動産管理会社のM&Aの成功事例は、以下のとおりです。

以下では、それぞれ異なる背景を持つ近年のM&A成功事例を具体的に紹介します。

事例1. 株式会社エイシアンスターによる株式会社亜信の子会社化

2024年9月、不動産管理・販売の株式会社エイシアンスターは、東京都内での事業拡大を目的に、不動産販売を手がける株式会社亜信を連結子会社化しました。これは、横浜中心だった事業の課題であった都内での情報収集力を強化し、中国人投資家向けの事業基盤を拡充する戦略的な一手です。

手法は第三者割当増資の引き受けで、亜信の株式51%を5,049万円で取得しました。M&Aにより、エイシアンスターは都心部への本格的な足がかりを築き、収益基盤の強化と企業価値向上を目指すシナジー創出の成功事例となりました。

事例2. ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社による富士物産株式会社の子会社化

ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社は、安定収益と将来の再開発用地確保を目的に、2023年12月に不動産賃貸業の富士物産株式会社を全株式取得により完全子会社化し、その後2024年10月に吸収合併しました。

このM&Aは、富士物産が保有する賃貸不動産という資産の取得を主目的とした不動産M&Aです。まず子会社化でグループに取り込み、次に吸収合併で一体化するという段階的なプロセスを踏むことで、経営資源の統合と運営効率化を円滑に実現しました。

短期的な収益確保と長期的な成長戦略を両立させた成功事例といえます。

事例3. 株式会社新日本建物によるエール株式会社の非子会社化

2023年3月、株式会社新日本建物は、経営戦略「選択と集中」の一環として、子会社だった不動産管理会社エールを非子会社化しました。これは、両社間の事業シナジーが低下したため、経営資源を主力事業へ集中させることが目的です。

手法としては、エール自身が新日本建物の保有株式を買い取る「自己株式取得」が用いられました。株式売却によりエールは独立し、新日本建物は一時的な業績悪化と引き換えに経営資源の最適化という戦略目的を達成しています。その後のタスキとの経営統合など、さらなる企業再編への布石となりました。

不動産管理会社のM&Aにおすすめの仲介会社・サービス

不動産管理会社のM&Aは、管理戸数という独自の評価指標や、オーナー様との信頼関係の引き継ぎなど、他業種とは異なる専門性が求められます。そのため、M&Aを成功させるには、こうした業界特有の事情に精通した仲介会社のサポートが不可欠です。

不動産管理会社のM&Aにおすすめの仲介会社は以下のとおりです。

以下では、それぞれに特色を持つ仲介会社・サービスを紹介します。

どの仲介会社に相談すべきかお困りの場合、複数のサービスをまとめて比較検討できる「M&A比較ナビ」の活用がおすすめです。

自分に合った仲介会社を見つけるためにも、まずは無料相談から始めてみてください。

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ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ

出典:ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ
会社情報詳細
サービス名ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ
サポート内容・M&A仲介・アドバイザリー業務
・中小企業・スモールM&A、事業承継支援
・不動産管理・賃貸業のM&A
・事業再生型M&A
・税理士など他士業と連携するM&Aアライアンス業務
・経営者向け顧問サービス「M&Aの右腕」
サポート体制・経営者の想いを実現する「伴走型M&Aコンサルティング」
・20年以上の実務経験を持つベテランコンサルタントが専任で担当
・4,000以上の独自ネットワークと全国24の金融機関との連携
料金体系・相談料・着手金・月額報酬: 無料
・中間金: 30万円(税別) ※基本合意時等
・成功報酬: 取引金額に応じた料率
特徴・中小企業やスモールM&Aに特化
・経営者の想いに寄り添う「伴走型」支援スタイル
・不動産業界を含む多岐にわたる業種に対応
・豊富な実績とネットワークを活かしたスピーディーな対応力
・業界最安水準の料金体系
運営会社ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ株式会社
URLhttps://five-mirai.co.jp/

ファイブ・アンド・ミライアソシエイツは、中小企業やスモールM&Aに特化した仲介会社です。不動産管理・賃貸業のM&Aも専門的に手掛けており、経営者の想いを実現する「伴走型コンサルティング」を最大の強みです。

20年以上の実務経験を持つベテランが専任で担当し、80社以上の成約実績と4,000を超える独自ネットワークを活かして、スピーディーかつ最適なマッチングを支援しています。料金体系は業界最安水準を謳う成功報酬が中心で、事業承継に悩む経営者が安心して相談できる体制を整えています。

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BizHub

出典:BizHub
会社情報詳細
サービス名BizHUB
サポート内容・不動産管理業界に特化したM&A仲介
・事業承継、引退、成長戦略に関するコンサルティング
・企業価値の「簡易スピード査定」サービス
サポート体制・M&A経験者、中小企業診断士、弁護士などの専門家がサポート
・匿名での無料相談が可能
・全国対応(主に首都圏)
料金体系・相談料・着手金: 無料
・中間金: あり
・成功報酬:株式譲渡価格に応じたレーマン方式(最低手数料1,000万円)
5億円以下:5%
5億円超~10億円以下:4%
 10億円超~50億円以下:3%
50億円超~100億円以下:2%
100億円超:1%
特徴・不動産管理業界に特化した高い専門性と情報力
・最短3営業日で企業価値を把握できる「簡易スピード査定」
・最短3ヶ月でのスピード成約を目指す体制
・赤字や債務超過の企業でも相談可能
運営会社株式会社BizHUB
URLhttps://bizhub.co.jp/service/lp_ma/

BizHUBは、不動産管理業界に特化したM&A仲介サービスです。後継者不在や事業からの引退、成長戦略としての売却など、さまざまなニーズに対応します。

最大の特徴は、業界専門の情報力と、最短3営業日で企業価値を把握できる「簡易スピード査定」です。

経験豊富なコンサルタントや弁護士などの専門家が、匿名での無料相談から成約までを最短3ヶ月でサポートします。着手金無料の成功報酬制(レーマン方式)を採用しており、特に首都圏の不動産管理会社が安心してM&Aを検討できる体制を整えています。

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ビズハブ

会ってみたらすごい親切でいい人だった。

引用:電話帳ナビ

代表者個人名宛て受電
提携について、とのことだが単なるM&A営業
迷惑なのでかけてこないで欲しい

引用:電話帳ナビ

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リアークスファインド

出典:リアークスファインド
会社情報詳細
サービス名RF事業承継
サポート内容・不動産管理業に特化したM&A仲介
・事業承継、引退、成長戦略に関するコンサルティング
・企業価値の簡易価額算定
サポート体制・M&A経験者、中小企業診断士、弁護士などの専門家がサポート
・秘密厳守での無料相談
・全国対応(主に首都圏1都3県)
料金体系・相談料:無料
・成功報酬:仲介手数料として成約価額の5%
・最低報酬額:100万円(税別)
特徴・不動産管理業に特化した専門性の高い仲介サービス
・同業の不動産会社への譲渡を前提としたマッチング
・中小企業庁のM&A支援機関として登録
・赤字や債務超過の企業も相談可能
運営会社株式会社リアークスファインド
URLhttps://rfma.rearx-find.co.jp/

リアークスファインドは、首都圏を中心に不動産販売や中古マンション再生事業を手掛ける不動産会社です。同社が提供する「RF事業承継」は、不動産管理業に特化したM&A仲介サービスで、後継者問題などを抱える企業の事業継続を支援します。

不動産業界に精通した同業他社への事業譲渡を前提としており、業界特有の事情を理解したうえでのスムーズなマッチングが期待できます。無料相談から始まり、企業価値の簡易算定、専門家による交渉サポートまで一貫して提供していることが魅力です。着手金不要の成功報酬制で、安心して相談できる体制を整えています。

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担当者様が非常に良い方でした!

オフィスも綺麗ですし、ご対応も丁寧だったのでお客様への対応もかなりのまだと思います!

引き続きよろしくお願いします。

引用:Google Map

担当の方がとても話しやすく、気になることも気軽に相談できました。押しつけがましさもなく、知人にも紹介したいと思える会社です。

引用:Google Map

住まい関する問題対処が全て遅すぎる!!! 何か問題が発生した場合、「いつ迄に出来るか、担当者氏名」聞いた上で、こちらも対処した方が良い。

引用:Google Map

>>(無料)リアークスファインドに問い合わせる

不動産管理会社のM&Aの動向(現状・課題・今後)

少子高齢化を背景に、不動産管理業界は大きな転換期を迎えています。市場が成熟するなか、M&Aは規模拡大のみならず、事業承継問題や人手不足といった業界課題を解決する有効な手段として注目されているのです。

以下では、不動産管理業界におけるM&Aの動向を「現状」「課題」「今後」の3つの視点から解説します。

【現状】「管理戸数」獲得競争と事業承継問題でM&Aが加速

不動産管理会社のM&Aは、管理戸数の獲得競争と事業承継問題を主な背景として加速しているのが現状です。

買い手は、安定収益の基盤である管理戸数を短期間で増やし、規模の経済を働かせるためM&Aを戦略的に活用します。一方、売り手となる中小管理会社では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しており、事業と従業員の雇用を守るための解決策としてM&Aが選ばれています。

このように、事業拡大を目指す買い手と、事業存続を願う売り手双方のニーズが合致することで、業界再編が活発化しているのが現状です。

【課題】人手不足と収益性低下、M&Aが不可避な業界の構造課題

不動産管理業界は、「深刻な人手不足」と「収益性の低下」という構造的な課題に直面しており、M&Aが不可避な状況です。

長時間労働や業界イメージの悪化が人手不足を招き、激しい価格競争や管理物件の減少が収益を圧迫しています。個々の企業の努力だけでは課題解決は難しく、多くの企業が生き残りをかけてM&Aを選択しているのです。

M&Aは、人材確保や事業規模拡大によるコスト削減、事業多角化による新たな収益源の確保を実現する有効な手段となり、業界再編を加速させています。

【今後】M&Aの継続と、DXや新領域への展開によるさらなる成長

不動産管理会社のM&Aは、今後も事業承継問題や規模拡大のニーズを背景に継続し、さらなる成長には「DX」と「新領域への展開」にあります。

業界のDX化の遅れを解消するため、IT企業や関連サービス企業の買収を通じて業務効率化やサービス向上を図る動きが加速するでしょう。また、国内市場の成熟に対応するため、M&Aを通じて高齢者向け住宅や海外市場といった新たな成長領域へ進出する動きも活発化します。

これにより、業界全体のサービス多角化と高度化が進むと予測されます。

不動産管理会社のM&Aのスキーム

不動産管理会社のM&Aでは、目的や状況に応じて最適な手法(スキーム)を選ぶことが重要です。スキームによって、経営権の移転範囲や手続きの複雑さ、税務、従業員の引き継ぎなどが大きく異なります。

不動産管理会社のM&Aのスキームは、以下のとおりです。

以下では、それぞれの特徴と活用場面を解説します。

株式譲渡

株式譲渡は、会社を丸ごと売買するため、不動産管理会社のM&Aで最も多く用いられる手法です。

最大のメリットは、管理委託契約や従業員の雇用、許認可などを個別に移転する必要がなく、手続きが簡便な点です。これにより、後継者不足に悩むオーナーは事業をスムーズに承継できます。

買い手は管理物件やノウハウを一度に獲得でき、不動産取得税もかかりません。一方で、不要な資産や帳簿に載らない簿外債務も引き継ぐリスクがあるため、徹底したデューデリジェンスが不可欠です。

事業譲渡

事業譲渡は、会社の一部の事業を選んで売買する手法であり、買い手が必要な資産や優良な管理契約だけを引き継げる点が特徴です。これにより、売り手企業が持つ簿外債務などのリスクを切り離して買収できます。

一方、売り手も不採算部門だけを切り離し、会社を存続させ経営資源を主力事業に集中させることが可能です。ただし、管理委託契約や従業員の雇用契約を個別に結び直す必要があり、手続きが非常に煩雑になる点がデメリットです。

会社分割

会社分割は、特定の事業部門を切り出して別会社に承継させる手法です。不動産管理会社のM&Aでは、優良な管理事業や不動産だけを新会社に分割し、その新会社の株式を売買する形で利用されます。

これにより、事業譲渡のように対象事業を選別しつつ、株式譲渡のように包括的に権利義務を承継できるメリットがあります。買い手は簿外債務などのリスクを元の会社に残したまま、必要な事業だけを安全に買収できますが、手続きが複雑で高度な専門知識が必要です。

合併

合併は、複数の会社が法的に一つの会社になる手法で、主に同業の不動産管理会社同士が経営効率や競争力を高める目的で用います。

管理戸数を増やしてスケールメリットを追求したり、互いの営業エリアを補完したりする効果が期待できます。契約や許認可は包括的に承継されるため個別の移転手続きは不要です。

しかし、異なる企業文化や人事制度を一つに統合するプロセス(PMI)が非常に困難であり、最大の課題となります。

不動産管理会社のM&Aを活用するメリット

不動産管理会社のM&Aは、売り手である譲渡側と買い手である譲受側の双方にメリットをもたらします。以下では、それぞれの立場から見た具体的なメリットについて詳しく解説します。

譲渡側のメリット

不動産管理会社がM&Aを行う最大のメリットは、後継者問題を解決し、事業と従業員の雇用を守られることです。

経営者が高齢化しても、買い手企業に経営権を譲渡すると廃業を回避できます。また、大手企業の傘下に入るれば経営基盤が安定し、自社単独では難しかったIT投資やサービス拡充も可能です。

さらに、株式譲渡のスキームを選べば、不動産を個別に売却するよりも税制面で有利になることが多く、創業者利益を最大化しながら安心して引退できる可能性が高まります。

譲受側のメリット

譲受側にとってM&Aは、事業規模を迅速に拡大できる有効な戦略です。

不動産管理業は管理戸数が収益に直結するため、M&Aによって既存の管理物件や顧客基盤、専門知識を持つ人材を一括で獲得できます。これにより、ゼロから開拓する時間とコストを大幅に削減し、スケールメリットによる経営効率化を実現します。

また、特定の地域に強い管理会社を買収すれば、新たな商圏へスムーズに進出可能です。株式譲渡であれば不動産取得税などもかからず、低コストでの事業拡大が期待できます。

不動産管理会社のM&Aを実施するポイント・注意点

不動産管理会社のM&Aを成功に導くためには、メリットだけでなく、潜在的なリスクや注意点を双方の立場で深く理解し、慎重にプロセスを進めることが重要です。

以下では、M&Aを成功させるために押さえておくべきポイント・注意点を、譲渡側と譲受側のそれぞれの視点から詳しく解説します。

譲渡側の注意点

譲渡側は、自社の価値を最大化するための準備が重要です。

管理戸数や物件の質、優良な顧客基盤などの強みを客観的なデータで示し、買い手へのメリットを明確にアピールする必要があります。特に、M&Aの交渉中は情報漏洩に細心の注意を払い、管理組合や物件オーナーとの信頼関係を損なわないよう努めなければなりません。

また、譲渡価格だけでなく、従業員の雇用維持や経営権の関与度合いなど、希望条件に優先順位をつけ、時間に余裕を持って交渉に臨むことが成功につながるポイントです。

譲受側の注意点

譲受側は、潜在的なリスクを徹底的に洗い出すデューデリジェンスが最も重要です。

特に不動産管理会社の場合、管理委託契約の内容や修繕履歴、家賃滞納状況、そして帳簿に現れない簿外債務の有無を精査する必要があります。また、オーナーとの信頼関係を築いているキーパーソンがM&A後に流出しないよう、契約段階で対策を講じることも重要です。

期待するシナジー効果を現実的に評価し、買収後の業務システムや企業文化の統合計画(PMI)を周到に準備することが、M&A成功の鍵を握ります。

不動産管理会社のM&Aを実施する手順

不動産管理会社のM&Aを実施する手順は、以下の通りです。

STEP
M&Aの目的・戦略の明確化

なぜM&Aを行うのか目的を明確にします。後継者問題の解決、大手傘下での経営安定化、創業者利益の獲得などが主な動機です。

そのうえで、管理戸数拡大を狙う同業大手や、安定収益を求める異業種など、どのような相手に会社を託したいか戦略を立て、M&Aの第一歩を踏み出します。

STEP
M&A仲介会社など専門家への相談

M&Aを円滑に進めるため、専門家への相談は不可欠です。特に不動産業界の商慣習や管理委託契約に詳しいM&A仲介会社を選ぶことが重要です。独自のネットワークで幅広い買い手候補を探し、より良い条件での売却につなげてくれます。

自力で適切な専門家を探すのが難しいと感じている方は、複数の仲介会社を比較できる「M&A比較ナビ」の活用がおすすめです。目的に応じたサービスを見つけられるため、M&Aの成功にもつながるでしょう。

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STEP
企業価値評価と資料準備

自社の価値を客観的に評価します。不動産管理会社では管理戸数や物件の質、管理組合との良好な関係などが企業価値に影響するため注意が必要です。

将来の収益力を示す事業計画や、会社の強みをまとめた交渉資料(IM)を準備し、買い手候補へのアピール材料としましょう。適正な評価が交渉の土台となります。

STEP
相手企業の選定・交渉開始

専門家を通じて買い手候補へアプローチします。不動産管理業では、管理戸数拡大によるスケールメリットや、リフォーム等の関連サービス拡充などのシナジー効果が重視されます。

複数の候補と交渉することで競争が生まれ、より有利な条件を引き出せるでしょう。

STEP
トップ面談と基本合意

経営者同士が直接会い、経営理念や企業文化、M&A後のビジョンを共有します。不動産管理業の根幹であるオーナーとの信頼関係をどう引き継ぐかといった、数値以外の重要な点を確認する場です。

双方の意向が固まれば、主要な条件をまとめた基本合意書を締結します。

STEP
デューデリジェンス(企業監査)の実施

買い手が売り手企業のリスクを詳細に調査します。不動産管理会社では、個々の管理委託契約の内容、物件の修繕履歴、家賃滞納状況、管理組合との関係などが厳しくチェックされます。

帳簿に現れない将来の修繕義務などの簿外債務がないか、徹底的に洗い出す重要なプロセスです。

STEP
最終条件の交渉

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な売買価格や条件を交渉します。

デューデリジェンスで問題が見つかれば価格が調整されたり、売り手が将来のリスクを保証する「表明保証」条項が追加されたりします。従業員の雇用条件など、譲れない条件を確定させてください。

STEP
最終契約の締結

全ての条件に双方が合意したら、法的な拘束力を持つ最終契約書(株式譲渡契約書など)を締結します。

不動産管理会社の場合、従業員の雇用維持や、物件オーナーとの関係を担う主要なフロント担当者の一定期間の残留などの条項を盛り込むことが、円滑な引き継ぎのために重要です。

STEP
クロージング(決済・引き渡し)

契約で定められた日に、買い手から売り手へ対価が支払われ、株式の名義が変更されます。

これによりM&Aは法的に完了します。会社ごと売買するスキームの場合、管理物件ごとの所有権移転登記や不動産取得税が不要なため、手続きやコストを抑えられることがメリットです。

STEP
PMI(統合プロセス)の実施

M&Aの真の成功は、契約後の統合プロセス(PMI)にかかっています。不動産管理業では、従業員の士気やオーナー・入居者との信頼関係が事業の根幹です。

サービス品質を落とさぬよう、業務システムや企業文化の統合を慎重に進め、シナジー効果の最大化を目指します。

STEP
M&A後の情報開示・事業展開

クロージング後、従業員や取引先、そして最も重要な管理組合や物件オーナーへ、M&Aの経緯と今後の体制について丁寧に説明します。

その後、買い手の経営資源やノウハウを活用し、管理サービスの向上やリフォーム事業の展開など、当初の戦略に基づいた新たな事業展開を開始します。

不動産管理会社のM&Aに関するよくある質問

以下では、不動産管理会社のM&Aを進めるうえで寄せられることの多い質問とポイントを整理しています。

証券会社・ゼネコン・異業種でも参入していますか?

ゼネコンやIT企業、投資関連会社など多様な異業種がM&Aに積極的に参入しています。

ゼネコンは事業シナジー、IT企業は不動産テック推進が目的です。証券会社の直接的な買収事例は限定的ですが、投資会社による安定収益確保を目的とした参入は活発化しています。

売却後、オーナーとの管理委託契約はどうなりますか?

結論として、M&Aの手法によります。

株式譲渡の場合、会社は存続するためオーナーとの管理委託契約は原則そのまま引き継がれます。一方、事業譲渡の場合は個別の再契約が必要となるのが一般的です。

こうした契約の引継ぎは交渉の重要事項であり、専門的な知識が不可欠です。どの仲介会社に相談すべきか迷ったら、信頼できる専門家を比較検討できる「M&A比較ナビ」で、最適なパートナーを見つけましょう。

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