化粧品業界M&Aの完全ガイド|業界の動向や相場・成功事例を徹底解説

「後継者が見つからないが、大切に育てた会社を廃業にはしたくない」
「激化する競争の中、会社の将来をどう守ればいいのか」

この記事では、最新のM&A事例や業界特有の動向、価格相場から信頼できる仲介会社の選び方まで、専門家の視点で分かりやすく解説します。

この記事を読めば、M&Aが貴社の未来を切り拓くための、希望ある経営戦略だとご理解いただけるはずです。

目次

化粧品業界のM&Aとは

化粧品業界のM&Aとは、企業の合併や買収を通じて事業承継や事業拡大、新規市場への参入といった経営課題を解決する手法です。

特に後継者不在に悩む中小企業の経営者の方にとって、会社と従業員の雇用、ブランドを未来へ繋ぐための重要な選択肢となっています。

また、譲渡する側だけでなく、譲り受ける側にも大きなメリットがあります。

大手企業が新たな顧客層や販路を獲得するため、あるいは異業種から化粧品ビジネスへ参入する足がかりとして、M&Aは非常に有効な成長戦略です。

M&Aは単なる会社の売買ではなく、技術やブランド、人材といった無形の資産を組み合わせ、新たな価値を創造する経営活動といえるでしょう。

化粧品業界のM&Aと他業界との違い

化粧品業界のM&Aには、他業界とは異なる際立った特徴があります。

特に重要なのが「ブランド価値」の評価と、専門知識が求められる「薬機法」の存在です。

製造業では工場の設備や不動産が企業価値の中心となる傾向にありますが、化粧品業界では消費者の信頼や愛着といった目に見えないブランドイメージが、会社の価値を大きく左右します。

さらに、化粧品の製造や販売には、医薬品医療機器等法(通称:薬機法)に基づく許認可が不可欠です。2021年の薬機法改正では広告規制が強化されるなど、法遵守の重要性は年々高まっています。

M&Aの手法によっては、薬機法の許認可引継ぎが複雑になるケースもあり、法的なリスク管理が極めて重要になります。そのため、化粧品業界のM&Aを成功させるには、こうした業界特有の事情に精通した専門家のサポートが欠かせません。

化粧品業界のM&Aの価格相場

化粧品会社のM&Aにおける売却価格は、企業の状況によって大きく変動します。一般的には「時価純資産に営業利益の3年〜5年分を足した金額」が一つの目安とされています。

時価純資産とは、会社が保有する資産(土地、建物、在庫など)から負債(借入金など)を差し引いた金額のことです。

ただし、これはあくまで基本的な計算方法であり、化粧品業界では独自の価値が価格に上乗せされるケースが多くあります。

例えば、特許を取得した独自の処方技術、全国に広がる販売網、熱心なファンを持つ強力なブランドなどは、営業利益以上の価値として高く評価される可能性があります。最終的な売却価格は、専門家による厳密な企業価値評価(デューデリジェンス)を経て、買い手との交渉によって決定されるものです。

化粧品業界M&Aの最新・注目事例3選

化粧品業界では、国内外で活発なM&Aが行われ、事業拡大やブランド強化が図られています。化粧品M&Aの事例は以下のとおりです。

以下では、実際に行われた化粧品M&Aの事例を取り上げ、それぞれの背景や特徴について詳しく紹介します。現場の具体的な動きから、M&Aの可能性をイメージしてみてください。

資生堂によるドランクエレファントの買収

2019年、株式会社資生堂は、米国のスキンケアブランド「ドランクエレファント」を買収しました。

このM&Aは、世界的な「クリーンビューティー」のトレンドと、顧客へ直接商品を届けるD2C(Direct to Consumer)モデルの強化を目的としたものです。

ドランクエレファントは、特定の成分を配合しないという独自の哲学で、ミレニアル世代を中心に高い支持を得ていました。資生堂はこの買収により、急成長する市場への足がかりと、デジタルマーケティングのノウハウを獲得しました。

独自のコンセプトを持つブランドが、大手企業から高く評価されることを示す象徴的な事例です。

ロレアルによるタカミの買収

2021年、世界最大の化粧品会社であるロレアルは、日本のドクターズコスメブランド「タカミ」を買収しました。

ロレアルの事例は、アジア市場、特にEコマースに強みを持つブランドをポートフォリオに加え、グローバル展開を加速させる狙いがあります。

タカミは、角質美容水「タカミスキンピール」という単一の強力な製品と、美容クリニックから生まれたという信頼性を背景に、日本で確固たる地位を築きました。ロレアルは、このブランド力と専門性の高い販売チャネルを評価しました。

日本のブランドが持つ独自の価値が、世界的大企業にとっても魅力的であることを示しています。

コーセーによるタルト(Tarte, Inc.)の買収

2014年、株式会社コーセーは、米国のナチュラルコスメブランド「タルト」の株式を取得しました。

コーセーによるM&Aの目的は、当時まだ手薄だった北米市場での事業基盤を確立し、グローバル展開を加速させる点にあります。

タルトは、天然由来成分にこだわった製品開発で人気を博しており、特にECやテレビ通販といった販売チャネルに強みがあります。コーセーは、タルトの持つブランド力と販売網を活用することで、自社単独では時間のかかる海外市場への浸透をスピーディに実現しました。

この事例は、海外ブランドへの戦略的投資が有効な成長手段であることを示しています。

化粧品業界のM&Aにおすすめの仲介会社3選

化粧品業界のM&Aは、ブランド価値の評価や薬機法への対応など、専門的な知見が不可欠です。そのため、業界に精通した信頼できる仲介会社のサポートが成功の鍵となります。

化粧品業界のM&Aにおすすめの仲介会社・サービスは、以下のとおりです。

以下では、化粧品M&Aに強みを持つ仲介会社や支援サービスを紹介します。

どの仲介会社に相談すべきか判断が難しい場合は、複数のサービスをまとめて比較できる「M&A比較ナビ」の活用が便利です。自分に合った支援先を見つけたい方は、まずは無料相談から始めてみてください。

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株式会社日本M&Aセンター

株式会社日本M&Aセンター
会社情報詳細
サポート内容・売り手/買い手双方への初期相談(無料)
・企業価値算定(無料)
・買手候補の探索
・M&Aスキーム策定支援
・交渉・デューデリジェンスサポート
・契約書作成支援
サポート体制・各業界に特化した専門チーム
・全国の地方銀行、信用金庫、会計事務所との連携ネットワーク
料金体系・売り手:完全成功報酬制(着手金無料)
・買い手:レーマン方式による成功報酬
5億円以下の部分:5%
5億円超〜10億円以下の部分:4%
10億円超〜50億円以下の部分:3%
50億円超〜100億円以下の部分:2%
100億円超の部分:1%
特徴・業界トップクラスの圧倒的な成約実績
・全国を網羅する広範なネットワーク
・各業界に精通した専門家によるサポート
運営会社株式会社日本M&Aセンター
URLhttps://www.nihon-ma.co.jp/

株式会社日本M&Aセンターは、国内最大手のM&A仲介会社で、全業種に対応した豊富な実績を誇ります。

特筆すべきは全国の金融機関と連携した圧倒的なネットワークで、地方に拠点を置く企業でも最適な相手を見つけやすい点が強みです。

化粧品業界を専門とするチームも擁しており、ブランド価値の評価や薬機法関連の論点にも精通しています。初めてM&Aを検討する方でも、業界のリーディングカンパニーとして培われたノウハウに基づいた、安心感のあるサポートが期待できるでしょう。

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ネットワークが多く、紹介から案件が入ってくるところ。同業他社と比較してもそこは圧倒的だと思う。

引用:エンゲージ

対応がよかったので、また利用したいと思います。ありがとうございました。

引用:Google Map

日本M&Aセンター 営業電話がしつこいデス 辞めてください

引用:X(旧Twitter)

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M&Aキャピタルパートナーズ株式会社

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
会社情報詳細
サポート内容・M&A戦略の策定支援
・企業価値評価・交渉サポート
・デューデリジェンス支援
・契約書作成・クロージング支援
サポート体制・専門コンサルタントによる専任担当制
・弁護士、会計士など専門家との連携
料金体系・着手金
・中間金無料の完全成功報酬制
取引価格別手数料率
5億円以下:5%
5億円~10億円以下:4%
10億円~50億円以下:3%
50億円~100億円以下:2%
100億円超:1%
特徴・東証プライム上場の高い信頼性
・M&Aの全プロセスを専門家がフルサポート
・譲渡企業の経営者に寄り添った丁寧なコンサルティング
運営会社M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
URLhttps://www.ma-cp.com/

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社は、東証プライムに上場する信頼性の高いM&A仲介会社です。

着手金や中間金が一切かからない「完全成功報酬制」を採用しているため、M&Aが成立するまで費用が発生しないのが大きな特徴です。

企業の将来を見据えた丁寧なマッチングを重視しており、譲渡後も企業が持続的に成長できるようなM&Aの実現を目指しています。公式サイトでは化粧品業界のM&A動向に関するレポートも公開しており、業界への深い知見に基づいた質の高いコンサルティングを求める経営者の方におすすめです。

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成約に至れたのは、M&Aに係るサポートはもちろん、事業運営での課題に対しても支援してくださったおかげです。経理職者が不在で悩んでいた当社に、竹内さんの知り合いで信頼出来る方を竹内さんからご紹介いただきました。

引用:公式HP

M&Aキャピタルパートナーズには、今回のご縁に限らず支援をいただいてきました。製造業だけでなく周辺事業も含め領域を拡大していきたいという方針を汲み、幅広く、積極的に情報を提供いただけること、スピード感を持って取り組みを推進していただけることに心強さを感じます。

引用:公式HP

営業がしつこく困っています。 会社や自宅などに何度も手紙を送ってきます。スパムメールと同じなような行為はやめてほしいです。とりあえず消費者庁とかに連絡してみようかと思います。

引用:Google Map

>>(無料)M&Aキャピタルパートナーズに問い合わせをする

株式会社fundbook

株式会社fundbook
会社情報詳細
サポート内容・M&Aアドバイザリーサービス
・企業価値評価
・譲渡スキームの提案
・各種交渉支援
サポート体制・M&Aプラットフォームと専属アドバイザーによるハイブリッドサポート
料金体系・着手金
・中間金無料の完全成功報酬制(譲渡企業側)
譲渡対象資産額(営業権を含む)別手数料率
3億円以下の部分:2,500万円
3億円超 〜 5億円以下の部分:5%
5億円超 〜 10億円以下の部分:4%
10億円超 〜 50億円以下の部分:3%
50億円超 〜 100億円以下の部分:2%
100億円超の部分:1%
特徴・約40,000社のデータを持つM&Aプラットフォーム
・アドバイザーによる手厚いサポートとの両立
・幅広い業種・エリアに対応
運営会社株式会社fundbook
URLhttps://fundbook.co.jp/

株式会社fundbookは、独自のM&Aプラットフォームと専門アドバイザーのサポートを融合させた、ハイブリッドなサービスを提供する仲介会社です。

化粧品業界の案件も取り扱っており、広範なデータベースから譲受候補を探索するため、自社では想定していなかったような異業種の優良企業と出会える可能性があります。

株式会社fundbookも着手金無料の完全成功報酬制を採用しており、安心して相談することが可能です。テクノロジーを活用してM&Aの選択肢を最大化しつつ、経験豊富なアドバイザーによる人間味のあるサポートも受けたいと考える経営者の方に適しています。

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クライアント企業に寄り添い、さまざまなノウハウを用いて最適なM&Aを実現することが強み。豊富な知識・経験に加え、丁寧なヒアリングと分析によってクライアントのニーズを的確に把握し、高いクオリティのサービスを提供できることが強みかと。

引用:エンゲージ会社の評判

ファンドブック(FUNDBOOK)はプラットフォーム上に掲載する前に電話でヒアリング→アドバイザーと面談というステップを踏むので譲渡する側の意思を正確に把握しやすいのかなという印象を受けますね。

引用:Yahoo知恵袋

日本M&Aセンター、ストライク、FUNDBOOKなど、頻繁に担当変わったのと案件紹介で電話がくる。
昔の先物取引の営業と一緒で、一発決めれば手数料でかいし、乱れ打ちなんだろうな。離職率も高いって聞くし。ホンマにいい案件あれば、自分で借入して買収すればいいのに。

引用:X(旧Twitter)

>>(無料)fundbookに問い合わせをする

化粧品業界のM&A動向(現状・課題・今後)

化粧品業界のM&Aを検討する上で、現在の市場動向や将来の見通しを把握しておくことは非常に重要です。

ここでは、M&Aが増加している背景から、業界が抱える課題、今後の展望までを分かりやすく解説します。

M&Aが増加する背景(薬機法対応と巨額な研究開発競争)

化粧品業界でM&Aが増加している背景には、法規制への対応と激化する研究開発競争があります。

中小企業が単独で、年々厳しくなる薬機法の改正に対応し、かつ大手と渡り合うための巨額な研究開発費を捻出し続けるのは、現実的に困難になっているためです。

例えば、2021年の薬機法改正では課徴金制度が導入され、誇大広告への取り締まりが一層強化されました。こうした法務対応や、資生堂が年間数百億円を投じるような研究開発競争に個人で対応するのは困難です。

M&Aによって大手グループの傘下に入れば、こうした経営資源を活用できるようになるため、M&Aが生き残りのための戦略的な選択肢として活用されています。

M&Aの特有課題(キーパーソンの離脱とOEMメーカーとの契約問題)

化粧品業界のM&Aでは、ブランドの魂ともいえる開発責任者(キーパーソン)の離脱が大きなリスクとなります。

独自の処方を生み出すカリスマ的な開発者がいる場合、その人物の退職がブランド価値を大きく損なう可能性があるため、M&A後も会社に留まってもらうための配慮が不可欠です。

また、多くの化粧品会社が製造を外部のOEMメーカーに委託しています。OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略で、他社ブランドの製品を製造する企業のことです。

M&Aによって経営権が移動すると、このOEMメーカーとの契約がスムーズに引き継がれないケースも想定されます。サプライチェーンの根幹に関わるため、デューデリジェンスの段階で契約内容を精査することが極めて重要です。

今後のM&A展望(BeautyTechと医療・ウェルネス領域との融合)

今後の化粧品業界では、BeautyTech(ビューティーテック)のようやテクノロジーや医療との融合を目的としたM&Aがさらに加速すると予測されます。

BeautyTechとは、AIによる肌診断やIoTデバイスなどを活用した美容サービスのことです。AIを活用したパーソナライズコスメの提案や、AR(拡張現実)によるバーチャルメイクのサービスを持つIT企業と、伝統的な化粧品会社が手を組む事例が増えるでしょう。

さらに、健康志向の高まりを受け、医療機関やサプリメント企業など、ウェルネス領域との連携も活発化します。美容皮膚科が監修する高機能化粧品ブランドの価値はますます高まり、ヘルスケア企業による化粧品市場への参入も進むと考えられます。

M&Aを通じて、化粧品は「美」だけでなく「健康」という新たな価値を提供していくことになるのです。

化粧品業界のM&Aで用いられる主なスキーム

M&Aと一言でいっても、その手法(スキーム)はさまざまです。どのスキームを選択するかによって、手続きや税金、従業員の契約などが大きく変わるため、自社の目的に合った方法を選ぶことが重要です。

化粧品業界のM&Aスキームは、以下のとおりです。

化粧品業界でよく用いられるM&Aスキームの種類についてご紹介します。

株式譲渡|最も一般的な包括的承継スキーム

株式譲渡は、会社のオーナーが保有する株式を買い手に売却することで、会社の経営権を移転させる最も一般的なM&Aの手法です。

手続きが比較的シンプルで、会社の資産や負債、従業員との雇用契約、取引先との契約などを包括的に引き継ぐことができます。

ロレアルによるタカミの買収もこのスキームが用いられました。後継者不在に悩むオーナー経営者の方が、会社を丸ごと譲渡する場合によく用いられます。

事業譲渡|特定のブランドや事業のみを売買するスキーム

事業譲渡は、会社全体ではなく、特定の事業やブランド、工場など一部だけを選んで売買する手法です。

例えば、「スキンケア事業だけを譲渡し、メイクアップ事業は手元に残す」といった柔軟な選択が可能です。

買い手にとっては、必要な事業だけを取得できるため、不要な資産やリスクを引き継がずに済むメリットがあります。一方で、従業員や取引先との契約を個別に結び直す必要があるなど、手続きが煩雑になる側面も持ち合わせています。

吸収合併|子会社統合やグループ再編で活用されるスキーム

吸収合併は、複数の会社を一つの法人格に統合する手法です。

一つの会社が存続し、もう一方の会社は解散してその権利義務のすべてを存続会社に承継させます。主に、既に買収した子会社を本社に統合して経営を効率化したり、グループ内の関連会社を整理したりする目的で使われることが多いスキームです。

オーナー経営者の方が会社を売却する初期段階で用いられることは、株式譲渡や事業譲渡に比べて少ない傾向にあります。

化粧品業界でM&Aを活用するメリット

M&Aは、会社を譲渡する側(売り手)と譲り受ける側(買い手)の双方に大きなメリットをもたらす可能性を秘めた経営戦略です。

化粧品業界ならではのメリットを理解し、自社の未来を具体的にイメージすることが重要です。

【譲渡側】薬機法対応や開発コストの負担を解消

譲渡側の経営者にとっての大きなメリットは、複雑化する薬機法への対応や、巨額化する研究開発コストの負担から解放される点です。

これにより、経営者は本来注力すべき新製品のアイデア創出や、ブランド価値の向上といったクリエイティブな活動に集中できます。

頻繁な法改正への対応や効果の高い新成分の開発は、中小企業にとって重い負担となっています。M&Aによって大手企業の資本力や専門部署のサポートを得ることで、こうした経営上の悩みを解消し、ブランドのさらなる成長を目指せるようになるのです。

【譲受側】独自処方の技術と専門販路の獲得

譲受側にとってのメリットは、他社には真似できない独自処方の開発技術や、ニッチな販売チャネルを一気に獲得できる点にあります。

ゼロから特徴的な製品を開発し、美容クリニックやエステサロンといった専門的な販路を開拓するには、膨大な時間と労力がかかります。

M&Aを活用すれば、既に実績のある技術や販売網を短期間で手に入れることが可能です。これにより、譲受側は製品ラインナップを強化し、新たな顧客層へアプローチできるようになります。

M&Aは、競争の激しい化粧品市場で優位に立つための極めて有効な戦略です。

化粧品業界でM&Aを実施する際のポイント・注意点

M&Aを成功に導くためには、メリットだけでなく、注意すべきポイントを正しく理解しておくことが不可欠です。

特に化粧品業界では、ブランドという無形の資産を扱うからこその難しさがあります。ここでは、譲渡側と譲受側、それぞれの立場で特に注意すべき点を解説します。

【譲渡側】ブランドの無形価値を訴求し、企業評価を最大化

譲渡側にとって最も重要なのは、財務諸表に表れない自社の「無形価値」を的確に伝え、企業評価を最大化することです。

決算書の数字だけでなく、ブランドが持つ独自のコンセプトや開発哲学、長年のファンとの絆といった要素が、化粧品会社の価値を大きく左右します。

なぜこのブランドが愛されているのか、他社にはない独自性は何か、といった点を客観的な資料と共に提示することが重要です。これにより、買い手は数字以上の価値を認識し、より良い条件でのM&Aが実現しやすくなります。

【譲受側】薬機法とブランド価値:化粧品デューデリジェンスの要点

譲受側にとって最大の注意点は、デューデリジェンス(買収監査)で、化粧品業界特有のリスクを徹底的に調査することです。

デューデリジェンスとは、買収対象の企業の価値やリスクを精査する手続きを指します。

特に重要なのが、薬機法違反の有無や、誇大広告による行政処分のリスクの確認です。また、SNSなどでの悪評やブランドイメージの毀損につながる潜在的な問題がないかも慎重に調査する必要があります。

財務状況だけでなく、こうした法務・ブランド価値の精査が、M&Aの成否を分けるといえるでしょう。

化粧品業界でM&Aを実施する9つの手順

M&Aは、検討を開始してから最終的な経営統合が完了するまで、多くのステップを踏む必要があります。

全体像を把握しておくことで、今どの段階にいるのかを理解し、落ち着いて対応することができます。

STEP
M&Aの検討と専門家への相談

まずは、後継者問題の解決や事業成長のためにM&Aが最適かを検討します。化粧品業界のM&Aはブランド価値や薬機法の知識が不可欠なため、業界に精通した専門家選びが成功の第一歩です。どの会社に相談すべきか迷う場合は、「M&A比較ナビ」のようなサービスで複数の仲介会社を比較し、自社に合ったアドバイザーを見つけるのが良いでしょう。

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STEP
自社の企業価値評価の実施

専門家の協力を得て、自社の企業価値を評価します。化粧品会社の場合、財務諸表の数字だけでなく、ブランドの知名度、独自の処方や技術、リピート率の高い顧客リストといった「無形の資産」が価値を大きく左右します。これらの強みを客観的に評価し、M&Aを進めるかどうかの意思決定を行います。

STEP
M&A仲介会社との契約

M&Aを本格的に進めると決めたら、M&A仲介会社とアドバイザリー契約を結びます。特に化粧品業界では、新製品情報や独自処方といった機密情報が漏洩するリスクが高いため、秘密保持契約の内容を十分に確認し、信頼できるパートナーと契約することが極めて重要です。

STEP
譲受候補企業の選定と交渉

仲介会社が、譲受候補企業のリストアップを行います。候補先は同業大手に限りません。ヘルスケア企業やIT企業といった異業種も、シナジーを求めて化粧品会社を探している場合があります。交渉では、単なる条件面だけでなく、自社のブランドの世界観を理解し、尊重してくれる相手かを見極めることが大切です。

STEP
基本合意契約(LOI)の締結

交渉がある程度進んだら、主要な条件をまとめた基本合意契約を締結します。この段階で、創業者である社長がM&A後も一定期間顧問としての関わりや従業員の雇用を維持するといった、化粧品ブランドの継続性に不可欠な条件を盛り込んでおくことが、後のトラブルを防ぐうえで重要になります。

STEP
デューデリジェンス(買収監査)の実施

譲受候補企業が、貴社の価値やリスクを詳細に調査します。化粧品業界のデューデリジェンスでは、財務や法務に加え、薬機法を遵守しているか、広告表現に問題はないか、ブランドの評判を損なうSNS上の書き込みはないか、といった業界特有の項目が厳しくチェックされます。

STEP
最終条件の交渉

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な譲渡価格や条件を交渉します。例えば、在庫の中に流行遅れの商品が多いと評価されれば価格が調整されたり、ブランドのキーパーソンである開発担当者の処遇が重要な交渉ポイントになったりするなど、化粧品業界ならではの論点が生まれます。

STEP
最終契約(DA)の締結

全ての条件で双方が合意したら、法的な拘束力を持つ最終契約を締結します。契約書には、譲渡後もブランド品質基準の維持やブランド名の使用に関する取り決めなど、化粧品ブランドの価値を守るための詳細な条項を含めることが一般的です。

STEP
クロージングと経営統合

契約に基づき、対価の決済と株式等の引き渡しを行います。M&A成立後は、PMI(経営統合プロセス)が始まります。化粧品事業では、従業員のモチベーション維持はもちろん、長年の愛用者やサロンなどの取引先へ丁寧に説明し、ブランドへの信頼を損なわないようにすることが、経営統合を成功させる鍵となります。

化粧品業界のM&Aに関するよくある質問

ここでは、化粧品会社の経営者の方から特によく寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。

M&A後も、社長(創業者)として経営に関わることはできますか?

ブランドの世界観や開発哲学を円滑に引き継ぐため、譲渡後も創業者に一定期間、会長や顧問として経営に関わってもらうことを希望する買い手は多くいます。

M&Aの交渉段階で、ご自身の希望(完全に引退したいのか、経営に関わり続けたいのか)を明確に伝えることが重要です。その希望に合った条件で契約を結ぶことで、M&A後の役割を柔軟に決めることができます。

小さな会社でも買い手は見つかりますか?

会社の規模が小さくても買い手が見つかる可能性は十分にあります。化粧品業界では、会社の規模よりも「独自性」が重視される傾向が強いからです。

ニッチな市場で高いシェアを誇っていたり、特定の技術に強みを持っていたりする小規模な会社を大手企業が探し求めているケースは多くあります。会社の規模で諦めるのではなく、まずは自社の強みを専門家に相談してみることが重要です。

従業員や長年の愛用者には、どのタイミングで伝えるべきですか?

M&Aの情報を伝えるタイミングは、極めて慎重に判断する必要があります。一般的に、従業員へ伝えるのは、最終契約の締結後など、M&Aが確実になった段階が望ましいとされています。不確定な段階で情報が漏れると、従業員の間に不安が広がり、離職につながるリスクがあるためです。

顧客への告知も同様に、M&A成立後に、ブランドの未来にとって前向きな決断であることを丁寧に説明することが大切です。どのような仲介会社に相談すればよいか迷う場合は、複数の仲介会社を比較検討できる「M&A比較ナビ」のようなサービスを活用するのも一つの手です。

相談から利用まで完全無料なので、M&A仲介会社選びを効率化させたい方はぜひ活用してみてください。

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