「農業を引き継いでくれる人が見つからない」
「事業承継やM&Aの話は聞くけれど、自分の農場に当てはまるのか分からない」
この記事では、農業分野におけるM&Aの基礎知識から、価格相場、実際の成功事例、具体的な進め方までをわかりやすく解説します。後継者問題や事業拡大に悩む農業関係者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
農業M&Aとは
農業M&Aとは、農業法人や個人農家が経営権や農地、設備、ブランドなどを第三者に譲渡・統合する取引を指します。
近年は、高齢化や後継者不足といった課題の深刻化に伴い、農業分野でもM&Aの活用が広がっています。法人化の進展や、異業種からの新規参入が背景にあり、全国的に事例が増加しています。
農業M&Aの実施には、農地法に基づく許認可が必要であり、農地を取得または借りる際には、農業委員会や自治体の承認を得る必要があります。また、「農業経営基盤強化促進法」や「農地中間管理機構」などの公的制度を通じた支援を活用するケースもあります。
このように、農業M&Aは法制度との関わりが深く、事前の確認と専門家のサポートが欠かせません。適切な手順を踏むことで、スムーズな承継が実現できます。
農業M&Aと他業界の違い
農業M&Aは、他業界と比べていくつかの特徴があります。
まず、取引の多くが中小規模で行われ、後継者不在の解消や経営の引き継ぎを目的とした事業承継型が中心です。企業買収を目的とするM&Aとは性質が異なります。
また、農地法などの規制が厳しく、農地を譲渡・利用するには農業委員会や自治体の許可が必要です。農地所有適格法人などの条件も求められます。
加えて、公的支援制度が整っており、農業経営基盤強化促進法や農地中間管理機構を通じて、税制優遇や補助金の活用が可能です。さらに、異業種からの農業参入も進んでおり、連携や多角化を目的としたM&Aも増加しています。
このように、農業M&Aは法制度や地域性の影響が大きいため、専門家の支援を受けて慎重に進めることが重要です。
農業M&Aの価格相場
農業M&Aの価格相場には明確な基準がなく、事業規模や地域、資産内容などによって大きく異なります。一般的には、「時価純資産+営業権(のれん)」を基にした企業価値評価が価格決定の目安となります。
具体的には、所有する農地や設備、在庫などの純資産に、技術力や販路といった無形資産の価値を加えて算出されます。また、売上高や従業員数、家畜頭数なども価格に影響します。
たとえば、北海道などの大規模農場では数億円規模のM&Aが成立することもあります。一方、小規模農家では、数百万円~数千万円程度の比較的小さな取引も多く見られます。
このように、農業M&Aの価格は資産と収益性をベースにしながらも、最終的には買い手との交渉を通じて個別に決定されます。事前に正確な財務情報を整えておくことが重要です。
農業M&Aの事例
農業分野でもM&Aの活用が進み、さまざまな形で経営の引き継ぎや事業拡大が実現しています。農業M&Aの事例は以下のとおりです。
以下では、実際に行われた農業M&Aの事例を取り上げ、それぞれの背景や特徴について詳しく紹介します。現場の具体的な動きから、M&Aの可能性をイメージしてみてください。
事例1. ベルグアースによる伊予農産の買収
2021年11月、ベルグアース株式会社は、種子や苗・農園芸資材の卸売を手がける伊予農産株式会社を、株式交換により完全子会社化しました。本件は、同年8月に基本合意(株式交換比率:ベルグアース1株に対し伊予農産59株)を締結し、10月に株式交換契約を結んだうえで、11月末に効力が発生したものです。
ベルグアースは、野菜苗の生産・販売を中心とするアグリベンチャー企業であり、伊予農産は70年以上にわたって地域に根ざした農業資材の卸業を展開してきました。両社は長年の取引関係にあり、今回のM&Aによって購買力や営業基盤の強化、事業基盤の安定化が図られています。
事例2. 大和フード&アグリによるスマートアグリカルチャー磐田への資本参加・経営参画
2021年10月、大和証券グループ傘下の大和フード&アグリ株式会社(DFA)は、静岡県磐田市でパプリカを大規模温室栽培するスマートアグリカルチャー磐田(SAC磐田)へ資本参加し、経営に加わりました。
DFAは2018年設立後、施設園芸に注力しており、すでに2020年からトマト事業を展開しています。
SAC磐田は、1.2haと1.8haの2棟の温室を有し、正社員20名、パート45名の体制で年間約600トンのパプリカを生産しています。
今回の経営参画により、DFAは環境制御技術やスマート農業ノウハウを導入し、生産効率と低環境負荷型の栽培体制を強化し、実施から1年で黒字化を達成しています。
この取り組みを通じて、DFAは購買力と営業力の強化を図り、農業のスマート化と地域活性化に貢献するモデルケースを打ち出しています。
事例3. カネコ種苗による前田農薬の子会社化
2014年6月、カネコ種苗株式会社は、熊本県熊本市に本社を置く農薬卸売業の前田農薬株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。取得価額は非公開ですが、同年6月26日に株式取得を決議し、6月30日付で正式に手続きを完了しています。
前田農薬は、地域に根ざした営業ネットワークと安定した顧客基盤を持ち、約6億9,000万円の売上規模を誇る企業です。カネコ種苗は本件を通じて、農薬流通部門の強化と西日本エリアでの販売体制の拡充を図りました。
今回の子会社化は、既存取引を基盤とした株式譲渡型M&Aであり、両社の連携によって農業資材全体の供給体制を強化する狙いがあります。
農業M&Aにおすすめの仲介会社・サービス
農業M&Aは、後継者問題の解消や経営資源の有効活用を図るうえで重要な選択肢となっています。ただし、農地の権利関係や生産体制の継続といった特有の課題があるため、専門的な知見を持つ仲介会社のサポートが欠かせません。
農業M&Aにおすすめの仲介会社・サービスは、以下のとおりです。
以下では、農業M&Aに強みを持つ仲介会社や支援サービスを紹介します。
どの仲介会社に相談すべきか判断が難しい場合は、複数のサービスをまとめて比較できる「M&A比較ナビ」の活用が便利です。自分に合った支援先を見つけたい方は、まずは無料相談から始めてみてください。
M&A総合研究所

会社情報 | 詳細 |
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サポート内容 | ・売り手/買い手双方への初期相談(無料) ・企業価値算定(無料) ・買手候補のAIマッチングによる探索 ・M&Aスキーム策定支援 ・交渉・デューデリジェンスサポート ・基本合意締結〜クロージングまでの交渉支援 |
サポート体制 | ・専任M&Aアドバイザーが案件ごとにフルサポート(伴走型) ・AI×ビッグデータ活用によるマッチングチームと人による個別交渉チームの連携体制 ・オンライン相談窓口を設置 |
料金体系 | 売り手:完全成功報酬制 買い手: 2億以下の部分 2500万円 2億円超 5億円以下の部分 5% 5億円超 10億円以下の部分 4% 10億円超 50億円以下の部分 3% 50億円超 100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% |
特徴 | ・AIマッチングシステム:PKSHA Technology提携の高度レコメンド(売り手要望×買手適合性を自動抽出) ・スピード成約:最短49日でクロージング実績 ・完全成功報酬:売り手リスクゼロで依頼可能 ・譲渡価格ベース:負債を含めず手数料が抑制可能 |
運営会社 | 株式会社M&A総合研究所 |
URL | https://masouken.com/ |
株式会社M&A総合研究所は、中小・中堅企業のM&Aを専門に支援する仲介会社で、農業分野にも対応しています。完全成功報酬制を採用しており、成約するまで費用が発生しないため、初めてでも安心して相談できます。
AIマッチングと豊富なデータベースを活用し、最短49日・平均6.2ヶ月での成約実績を誇ります。M&A案件一覧を確認すると、0.01億~4億円規模の農業M&Aも取り扱っており、農地法や補助金制度など業界特有の課題にも柔軟に対応可能です。
上場企業による運営で信頼性が高く、地方案件にも全国対応しています。スピードと専門性を兼ね備えた仲介を求める方におすすめです。
M&A総合研究所の詳しい情報は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
バトンズ(BATONZ)

会社情報 | 詳細 |
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サポート内容 | ・直接交渉機能 ・会員マイページでの案件管理・進捗確認 ・M&A支援専門家(1,800社超)によるM&Aアドバイザリー支援(マッチング・交渉・契約締結) ・バトンズDD(企業調査)や中小M&A保険(M&A Batonz)のオプション提供 |
サポート体制 | ・取締役・専任スタッフによる全工程サポート(交渉~PMIまで) ・全国262行の地銀・信金等との提携ネットワーク ・1,800社以上の支援専門家によるエリア・業界特化サポート |
料金体系 | 売り手:成約報告で無料 買い手:成約価額の2.2%(消費税別)、最低38.5万円~ |
特徴 | ・無料で利用可能 ・成約手数料が業界最低水準 ・最短1週間~最長3年で成約実現 ・専門のスタッフが成約までサポート |
運営会社 | 株式会社バトンズ |
URL | https://batonz.jp/ |
BATONZ(バトンズ)は、株式会社バトンズが運営するM&A・事業承継支援プラットフォームで、成約実績No.1の実績を誇ります。全国の農業法人や個人農家を対象に、農地や経営権の承継に特化したマッチングを提供しており、後継者不足や農地法など農業特有の課題にも対応しています。
利用手数料は成約価格の2.2%(税込)で、最低手数料は1,000万円未満の場合38.5万円、1,000万円以上で77万円です。オンライン完結型のサービスで、専門家によるサポートも受けられるため、初めて農業M&Aを検討する方でも安心して利用できます。
BATONZ(バトンズ)については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
スピードM&A

会社情報 | 詳細 |
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サポート内容 | ・売り手側は「無料登録〜企業価値算定〜案件掲載〜買い手とのマッチング」の基本支援 • 買い手側には案件探索〜交渉支援などを提供 • 専門家・仲介会社との連携にも対応(プラットフォーム利用) |
サポート体制 | ・M&Aコンサルタントがオンラインでサポート ・登録後は匿名で交渉可能 |
料金体系 | 売り手:基本サービス・成約手数料などすべて無料 買い手: 譲渡価格の3,000万円までの部分:5% 3,000万円超~1億円までの部分:3% 1億円超の部分:1.5% ※最低手数料は20万円 |
特徴 | ・売り手・買い手ともに登録から成約までオンライン完結可能 ・スピード重視で、仲介会社との調整も迅速 ・中小・小規模事業に対応し、気軽に登録できる |
運営会社 | 株式会社日本経営研究所 |
URL | https://speed-ma.com/ |
スピードM&Aは、オンライン型のM&Aプラットフォームです。
農業分野を含む中小・零細企業の事業承継や売却・買収をサポートしており、売り手は登録から成約まで完全無料で利用できます。
掲載後はチャット機能を通じて匿名で買い手と直接やり取りでき、スムーズなマッチングが可能です。成約時の手数料は買い手側のみ発生し、事前相談や専門家との連携体制も整っているため、初めてのM&Aでも安心して活用できます。
スピードM&Aの詳しい情報は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
農業M&Aの動向
近年、農業分野でもM&Aの活用が進んでいます。背景には、農業経営者の高齢化や後継者不足がありますが、それに加えて、事業の拡大や新技術の導入を目的とした「攻めのM&A」も増えている点が特徴です。
また、農業以外の異業種—たとえば商社やIT企業など—が市場に参入する動きも加速しており、M&Aを通じて新たな価値を生み出そうとする流れが広がっています。
国も制度面で後押しを始めており、農地中間管理機構の活用や、許認可手続きの簡素化、税制面での優遇など、事業承継をスムーズに進めやすい環境が整いつつあります。
さらに、スマート農業(IoT・AI・ドローンなど)とM&Aを組み合わせることで、効率的な経営体制を目指す動きも活発です。今後も、農業の再編や生産性向上の手段として、M&Aの役割はますます重要になっていくと見られます。
農業M&Aのスキーム
農業M&Aでは、譲渡・譲受の目的や事業規模に応じて、さまざまなスキーム(手法)が用いられます。法人・個人の別や、農地・設備・人材などの承継範囲によって最適な選択肢が異なるため、それぞれの特徴を正しく理解することが大切です。
農業M&Aのスキームは、以下のとおりです。
以下では、代表的なスキームについて詳しく解説します。
株式譲渡
株式譲渡は法人の形を保ったまま、経営権を買い手に譲渡する方法です。
株主が変わるだけで、契約や許認可、農地利用契約なども継続できるため手続きが比較的簡単です。売り手は法人格を維持したまま譲渡でき、買い手は安定した運営基盤を引き継げます。ただし、借入金や契約関係など簿外債務も引き継がれるため、事前調査が重要です。
事業譲渡
事業譲渡は、農地や設備、在庫など特定の資産・負債のみを選んで譲渡する方法です。
法人格は維持され、不要な負債や契約を買い手が引き受けないため、リスクを限定できます。一方で、資産ごとに契約や名義変更が必要なため、手続きがやや複雑になる点に注意が必要です。
合併
合併とは、一つの法人が他法人を吸収し、権利・義務を包括的に承継する方法です。株主総会不要の簡易合併制度が使える場合もあり、複数事業を一体的に統合したい際に有効です。法人間で農地や許認可の移行もスムーズに行える点がメリットです。
会社分割
会社分割には、既存法人が事業を他法人に移す「吸収分割」と、新法人設立を伴う「新設分割」があります。農地や機能を切り出す際に有効で、経営リスクを分ける手段としても活用されます。分院展開や事業切り替えの柔軟性が高いスキームです。
農地所有適格法人の取得
農地を法人で所有するには「農地所有適格法人」の要件を満たす必要があります。これは、農業従事者の議決権保有率や役員構成などで定められています。
適格法人でないと農地取得が制限されるため、スキーム選定時には議決権構成などに注意が必要です。
農地中間管理機構を活用したリース方式
農地中間管理機構を通じたリース方式では、農地を法人が直接所有するのではなく、リース契約により利用できます。農地法の許可手続きが不要になり、農業経験のない企業や新規参入者でも比較的容易に農地を活用できます。法人化後の農地利用手段として注目されています。
農業M&Aを活用するメリット
農業分野でも、事業承継や経営拡大の手段としてM&Aが注目されています。特に人材不足や後継者不在といった課題を抱える農業経営者にとって、有効な選択肢の一つです。以下では、譲渡側と譲受側のそれぞれにとってのM&Aのメリットを紹介します。
譲渡側のメリット
農業経営者にとって、最も大きなメリットは後継者問題の解消です。
親族内承継が難しい場合も、M&Aを通じて事業を続けながら譲渡でき、耕作放棄のリスクを防げます。また、譲渡益を老後資金や次のステージ資金として確保できる点も重要です。
さらに、大手企業や農業法人へ売却することで、安定した経営基盤のもとで農地や従業員、ノウハウを引き継がれるため、地域社会への影響を抑えながら事業承継を実現できます。
譲受側のメリット
買い手にとっての最大の利点は、新規投資を抑えて農業参入ができる点です。
農地や設備、従業員、販路といった経営資源を一括で引き継げるため、スタートアップ段階のコストやリスクが大幅に軽減されます。また、熟練農家の技術やブランドを活用できることから、効率的な経営体制を構築しやすくなります。
さらに、スマート農業など新技術との融合による生産性向上も見込め、販路拡大やコスト削減による収益力強化につながります
農業M&Aを実施するポイント・注意点
農業M&Aを円滑に進めるには、一般的なM&Aとは異なる業界特有の配慮が欠かせません。特に、農地法をはじめとする法的規制や、地域に根ざした人間関係など、慎重に対応すべきポイントが多くあります。
以下では、譲渡側と譲受側のそれぞれの立場から、実施時に押さえておくべき注意点を紹介します。
譲渡側の注意点
農業M&Aを進める際は、農地法をはじめとした許認可手続きの複雑さに注意が必要です。特に法人が農地を取得・所有する場合、「農地所有適格法人」としての要件を満たす必要があり、許認可に数ヶ月を要することもあります。これを理解せずに進めると、許可が下りずに交渉が破談になるリスクが高まります。
また、簿外債務や偶発債務の存在にも警戒が必要です。デューデリジェンスを徹底しないと、想定外の負債を買い手に引き継ぐ恐れがあります。
さらに、地域特有の業務スタイルや従業員・取引先との関係性を軽視すると、交渉が長期化したり、M&A後に摩擦が生じることがあります。相手の文化的適合性もあらかじめ確認しておくことが望ましいです。
譲受側の注意点
買い手側は、まず農地の実態や設備の状態などを一年を通して現地で確認することが重要です。季節ごとの視察を行わないと、土壌の質や設備老朽化を見落とす可能性があります。
また、農地法による規制違反リスクを避けるために、買収対象法人が農地所有適格法人であることを確認するとともに、役員構成まで精査する必要があります。
さらに、財務・法務・労務などを精緻にチェックするデューデリジェンスの実行が欠かせません。不十分な調査は高額な兆発債務や契約違反リスクにつながるため、専門家を交えた徹底的な調査が推奨されます。
農業M&Aを実施する手順
農業M&Aを実施する手順は、以下の通りです。
まずは現状の経営課題と自社の強みを整理し、M&Aの目的を明確にします。たとえば後継者不足の解消や事業拡大、技術習得など、目的が定まることでスムーズな進行と判断基準が整います。そのうえで、M&Aを実現するためのタイムラインも策定しておくことが重要です。
自社の農地、設備、在庫、契約、人材、収益状況などを細かく洗い出します。これにより、譲渡対象の範囲や譲渡価値を明確にし、買い手に対して透明性をもった提示が可能になります。特に農地法の制約や許可の要否もこの段階で整理しておく必要があります。
譲渡側は、親族内または外部の買い手候補をリスト化し、マッチングプラットフォームや専門家を通じて条件の合う相手を探します。
譲受側は、自身の経営方針や資金力と照らし合わせて、信頼できる対象を選定します。この段階では匿名資料(ノンネームシート)を用いた初期検討が一般的です。
どこに相談すべきか迷う場合は、複数の仲介会社を一括で比較できる「M&A比較ナビ」の活用も効果的です。
譲渡対象と候補者が合意すれば、許認可や契約の名義変更、農地法に基づく届け出、税制対応、秘密保持契約(NDA)や基本合意(LOI)などを段階的に整えます。専門家と連携しながら手続きを進めることで、リスクを減らしながら条件面での齟齬を防ぎます。
最終契約(譲渡契約書)を交わし、譲渡価額、支払条件、担保や保証、引継期間、許認可の再申請などを明文化します。契約後は、従業員や取引先、地域住民への説明会を経て、農地や設備の引継ぎ、業務移行を順次実施します。元経営者が一定期間関与することで、スムーズな移行が可能になります。
農業M&Aに関するよくある質問
以下では、農業M&Aを進めるうえで寄せられることの多い質問とポイントを整理しています。
- 一般企業や異業種も農業法人をM&Aできますか?
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日本では、法人格を持つ非農家企業が農業法人を買収して子会社化したり、経営に参加したりする事例が増えています。とくに、2009年の農地法改正以降、農地の借り受けがしやすくなり、企業による農地取得も可能です。
また2023年の法改正では、一定の条件下で農地の所有も認められるケースが増えており、異業種企業の農業参入が加速しています。
- 農業経験がなくてもM&Aで農業に参入できますか?
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農業経験がなくてもM&Aによって農業に参入できます。
既存の農業法人を引き継ぐ形で経営に入るため、ゼロから農地を取得・整備する必要がなく、未経験者でもスムーズにスタートできます。ただし、農地の取得や法人形態には一定の法的要件があるため、専門家のサポートは不可欠です。
どの法人を選ぶか悩んでいる場合は、複数の候補を比較・相談できる「M&A比較ナビ」の活用がおすすめです。無料で相談できるため、初めての方でも安心して一歩を踏み出せます。