D2Cブランド売却の価格相場は?買い手が見るポイントや流れを解説

D2Cブランド売却では、売上規模だけでなく、利益率やリピート率、広告に頼らない集客力、在庫管理の状況などが価格に影響します。

本記事では、D2Cブランド売却の価格相場、買い手が評価するポイント、価格が下がりやすいケース、売却の流れまで解説します。

ただし、自社だけで売却価格の妥当性や買い手候補を判断するのは簡単ではありません。

D2Cブランドの売却に詳しい仲介会社やアドバイザーに相談すると、ブランドの強みや課題を整理しながら、売却の進め方を検討しやすくなります。

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目次

D2Cブランド売却の価格相場

D2Cブランドの売却価格は、売上規模だけでなく、営業利益やEBITDA(償却前営業利益)、成長性、顧客基盤などをもとに検討されるケースがあります。

たとえば年間利益が800万円の場合、利益の2〜5倍程度を目安に評価されるケースでは、1,600万〜4,000万円程度です。

ただし、実際の価格は広告依存度やリピート率、在庫状況によって変わります。

広告費を抑えても一定の購入が見込めるブランドであれば、買い手に収益の安定性を説明しやすくなるでしょう。

売却前に、売上・利益・広告費・在庫・返品率を月別に整理しておきましょう。

D2Cブランド売却で買い手が評価するポイント

D2Cブランド売却では、買い手が将来も利益を出せるかを確認します。

買い手が評価する主なポイントは、以下のとおりです。

単なるブランド名やフォロワー数の多さだけでなく、利益の再現性や顧客基盤の強さ、運営の引き継ぎやすさなどが重要な判断基準です。

ここでは、買い手が確認しやすい代表的なポイントを解説します。

売上規模よりも利益とリピート率が見られる

D2Cブランドの売却査定では、売上規模だけでなく、利益とリピート率も重視されます。

たとえ売上が大きくても、広告費や原価、物流費が収益を圧迫しているようでは、事業を引き継いだ後に十分な利益を残すのは困難です。

たとえば、月商1,000万円で営業利益が残らないブランドよりも、月商500万円でも利益率が安定し、リピート購入が続くブランドのほうが高評価を得やすいといえるでしょう。

買い手は初回購入の数だけでなく、2回目以降の定着率や定期購入の継続期間も確認します。

リピート率が高いブランドは、既存顧客からの購入が続きやすく、新規顧客獲得の広告費に依存しにくい点を説明しやすくなります。

売却準備では、商品別の粗利、購入回数別の顧客数、定期購入の解約率などを整理しておきましょう。

自社ブランドの収益構造を数字で説明できると、買い手からの質問にも対応しやすくなります。

広告に頼らず売れる顧客基盤があるか

D2Cブランドの売却査定では、広告に頼らず購入につながる顧客基盤があるかどうかも重要なポイントです。

特定の広告媒体に集客を依存していると、広告単価の上昇や広告アカウントの停止により、売上が影響を受ける可能性があります。

そのため買い手は、広告以外の経路からも安定して売上が発生しているかに注目するのです。

具体的には、メールマガジン、LINE、会員プログラム、指名検索、自然検索などが確認対象になります。

広告費をかけずに購入につながる経路があるブランドは、収益の安定性を説明しやすくなります。

売却準備では、広告、自然検索、SNS、メール、既存顧客など、流入元別の売上比率を整理しておきましょう。

自社の集客経路を数字で説明できると、買い手からの質問にも対応しやすくなります。

SNSフォロワーが購入につながっているか

D2Cブランドの売却査定では、SNSのフォロワー数だけでなく、購入につながっているかも確認されます。

フォロワー数が多くても、投稿への反応が少なく、ECサイトへの流入や購入が少ないケースは珍しくありません。

そのような状態では、SNSが売上に結びついている事実を買い手へアピールするのは困難となります。

一方、フォロワー数が数千人規模でも、投稿から商品ページへの流入が多いブランドもあります。

SNS経由での購入が継続的に発生していれば、顧客との関係性や販売力を買い手へ説明しやすくなるでしょう。

売却準備では、SNS経由の流入数、クリック率、購入率を整理しておきましょう。

SNS運用が売上にどの程度つながっているかを、数字で説明できる状態にしておくことが大切です。

商品の粗利率と在庫回転が安定しているか

D2Cブランドの売却査定では、商品別の粗利率や在庫の状態も確認されます。

粗利率が高く見えても、売れ残りが多い場合は注意が必要です。

在庫が長く残ると、倉庫保管料や廃棄費用が発生し、営業利益を圧迫する可能性があります。

買い手からは、商品別の粗利率や月別の在庫金額、在庫回転期間などの提示を求められる場合があります。

とくに食品や化粧品のように賞味・使用期限がある商品の場合は、在庫の期限や保管状態も厳しくチェックされるでしょう。

売却準備では売れ筋商品と滞留在庫を分けて整理し、評価基準を説明できると、在庫を理由にした価格調整にも対応しやすくなります。

D2Cブランド売却で価格が下がるケース

買い手が事業を引き継いだ後の運営リスクが高い場合、価格交渉で不利になる可能性があります。

具体的には、以下の項目が確認されやすいポイントです。

広告費を止めると売上も止まる

Web広告への依存度が高い状態は、買い手にとって運営リスクとして見られる場合があります。

広告アカウントの運用担当者変更や、競合参入によるCPAの上昇が起きる可能性があるためです。

CPAとは、1件の購入や問い合わせを得るためにかかった広告費を指します。

広告運用の状況が変わると、売上が変動しやすくなる点も注意が必要です。

買い手は、単月の売上だけでなく、広告費の推移や自然流入の比率を確認する場合があります。

売却前には、広告経由の売上と、既存顧客・自然検索・指名検索からの売上を分けて整理しておきましょう。

広告以外の経路から売上が発生していることを数字で説明できると、買い手からの確認にも対応しやすくなります。

原価や物流費が上がり、利益構造を説明できない

D2Cブランドの売却では、売上が伸びていても利益の内訳を説明できない場合、価格交渉で不利になる可能性があります。

商品原価や梱包費、倉庫費などは、営業利益や実質利益に直接影響する重要な要素です。

売上が伸びていても、これらの費用が増えていると、買い手は引き継ぎ後の利益を見通しにくくなります。

そのため、直近の売上だけでなく、過去数年間の原価率や物流費率の推移を確認される場合があります。

外部の委託倉庫や配送会社を利用している場合は、今後の料金改定や契約条件の引き継ぎ可否も確認対象です。

売却準備では、商品ごとの原価や配送費、返品費用などを整理しておきましょう。

売上から各コストを差し引いた利益をデータで説明できると、買い手からの確認にも対応しやすくなります。

在庫の品質・賞味期限・保管状況に不安がある

D2Cブランドの売却査定では保有在庫の品質や管理状況も確認されるため、管理体制に不備や不安要素が見つかると、価格調整の対象になる可能性があります。

ここで注意したいのが、期限の迫った商品や、今後の販売見込みが立たない滞留在庫の扱いです。

これらは帳簿上の金額どおりに評価されない場合があります。

将来的な廃棄費用や値引き販売のリスクが見込まれる以上、価格調整の対象になる可能性があるといえるでしょう。

在庫管理表の更新が遅れていたり、実在庫と帳簿の数字がずれていたりすると、管理体制について追加確認を求められる可能性があります。

売却前には、全在庫を棚卸しし、販売可能在庫・滞留在庫・廃棄見込み在庫に分けて整理しておきましょう。

在庫の状態を数字で説明できると、買い手からの確認にも対応しやすくなります。

顧客データや購買履歴を整理できていない

D2Cブランドの売却査定では、顧客情報や過去の購買履歴が、将来の売上を見通すための重要な判断材料です。

顧客データが未整理の場合、リピート率や顧客単価、購入頻度を買い手に説明しにくくなります。

たとえば、ECサイトやメール配信ツール、広告管理ツールに顧客情報が分散しているケースです。

どの顧客が何回購入しているのか、どの商品を継続して買っているのかを確認しにくくなります。

その結果、買い手が引き継ぎ後の売上を見通しにくくなり、価格交渉で不利になる可能性があります。

また、顧客データには個人情報が含まれるため、事業譲渡などで承継する場合は取り扱いの確認が必要です。

引き継ぎ後の利用目的が従来の範囲を超える場合は、同意取得の要否を確認しておきましょう。

売却前には、顧客データの保管場所、アクセス権限、購買履歴の推移を整理することが重要です。

データの管理状況を説明できると、買い手からの確認にも対応しやすくなります。

D2Cブランド売却の流れ

D2Cブランド売却の流れは、以下のとおりです。

STEP
売却目的と希望条件を整理する

D2Cブランドの売却では、最初に売却目的と希望条件を整理しましょう。

方針が曖昧なまま買い手を探すと、売却価格だけに目が向き、ブランド名の継続や在庫の引き取り条件などを確認しにくくなります。

たとえば、早めに資金化したい場合と、買い手の販路でブランドを広げたい場合では、合う買い手が異なります。

売却価格、支払い条件や商標の扱い、在庫の引き取り条件などを事前に整理しておきましょう。

STEP
ブランド価値と想定価格を確認する

売却目的を明確にした後は、自社のブランド価値と想定価格を確認します。

D2Cブランドの売却価格は、直近の利益に加え、成長率やリピート率、広告依存度、在庫状況などをもとに検討されます。

想定価格を確認するには、直近3期分の損益計算書や月別の売上推移、広告費などを整理しておきましょう。

日々の業務がオーナー個人に依存している場合は、引き継ぎ後の運営リスクを確認される可能性があります。

担当業務や所要時間も整理しておくと、買い手に説明しやすくなります。

STEP
買い手候補を探す

想定価格を確認した後は、売却先となる買い手候補を探しましょう。

D2Cブランドの買い手候補としては、同業のブランド運営会社、自社ECを強化したいメーカーや小売企業などが考えられます。

候補先を比較する際は、売却価格だけで判断しないことが大切です。

専門家選びで迷う場合は、M&A比較ナビを活用し、D2CやEC事業の支援経験がある相談先を探しましょう。

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STEP
秘密保持契約を結び、資料を開示する

買い手候補と具体的な交渉に入る際は、秘密保持契約(NDA)を結んでから詳細資料を開示します。

交渉が成立しなかった場合に営業上の重要情報だけが相手に残るおそれがあるため、詳細資料を開示する前にNDAを結ぶのが基本です。

情報開示は、買い手候補の関心の度合いに応じて段階的に進めます。

最初は会社名やブランド名を特定できる情報を伏せた概要書を提示し、NDA締結後に財務資料や運営マニュアルを開示するケースがあります。

競合関係にある企業へ詳細情報を開示する場合は、開示範囲を慎重に調整しましょう。

STEP
条件交渉とデューデリジェンスに進む

暫定的な売買条件に合意した後は、詳細な価格や引き継ぎ条件を詰めながら、デューデリジェンスに進むケースがあります。

デューデリジェンスとは、買い手が売り手企業の財務状況や法務面のリスクを確認する手続きです。

調査期間中は、買い手からの質問に対して根拠を示して回答できるようにしておきましょう。

提出資料に不備があると、追加確認や価格条件の見直しにつながる可能性があります。

契約締結まで進めやすくするためにも、売上や利益、在庫などの社内資料を事前に整理します。

STEP
契約締結後に在庫・顧客対応・運用を引き継ぐ

最終契約を締結した後は、買い手へ在庫や管理権限、運営に必要な情報を引き継ぎましょう。

引き継ぐ対象には、在庫、顧客対応、ECサイトの管理権限、広告アカウント、SNSの運用体制などがあります。

引き継ぎが不十分だと、売却後の運営に支障が出る可能性があります。

定期購入の顧客がいるブランドでは、配送途中の注文、返品・返金、運営会社変更の案内方法を整理しておきましょう。

買い手が同じ手順で対応できるよう、顧客対応の流れをマニュアルにまとめておくと安心です。

在庫については、引き渡し当日の数量や保管場所、所有権の移転時期を事前に確認します。

顧客データを引き継ぐ場合は、プライバシーポリシーや個人情報の利用目的、承継後の取り扱いを確認し、必要に応じて専門家に相談するとスムーズに進められます。

まとめ|D2Cブランド売却は、ブランド価値を説明できる準備から始めましょう

D2Cブランドを希望条件に近い形で売却するには、買い手にブランド価値を説明できる準備が大切です。

売上や利益だけでなく、リピート率、広告以外の集客経路、SNSからの購入実績、在庫の状態、顧客データなども評価材料になります。

買い手が引き継ぎ後の収益を見通しやすいよう、根拠となるデータを整理しておきましょう。

想定価格や売却先の選び方を自社だけで判断しにくい場合は、M&A比較ナビの活用もおすすめです。

D2CブランドやEC事業の売却相談に合う仲介会社を比較しながら、自社に合う相談先を検討できます。

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D2Cブランド売却に関するよくある質問

以下では、D2Cブランド売却を検討する際に確認されやすい質問を整理します。

個人事業主のD2Cブランドも売却できますか?

個人事業主が運営するD2Cブランドも、事業譲渡の形で売却できる場合があります。

ただし、個人名義で契約しているECカートや決済サービス、広告アカウント、SNSアカウントなどは、個別に引き継ぎ可否を確認する必要があります。

とくに確認したいのは、各サービスで名義変更や契約譲渡ができるかです。

事前に確認しないまま進めると、買い手が引き継ぎ後の運営に支障を感じる可能性があります。

顧客データを引き継ぐ場合は、プライバシーポリシーや利用目的との整合性も確認しておきましょう。

売却前に契約内容や利用規約を洗い出し、譲渡できるものと再契約が必要なものを整理しておくことが大切です。

SNSアカウントも一緒に売却できますか?

SNSアカウントをD2Cブランドの売却対象に含めたい場合は、各プラットフォームの利用規約を確認する必要があります。

規約に反してアカウントを移行しようとすると、アカウント停止などにより、買い手の運用に支障が出る可能性があります。

そのため、SNSアカウントを単独の資産として扱う場合は、利用規約違反と判断される可能性もあるため、慎重な判断が必要です。

アカウントそのものではなく、運用マニュアルや投稿素材、広告クリエイティブなどの引き継ぎとして整理する選択肢もあります。

売却前に、弁護士などの専門家へ利用規約や契約上の扱いを確認しておきましょう。

SNSアカウントや顧客データの扱いは、売却スキーム、各サービスの利用規約、個人情報保護法上の整理によって判断が分かれます。

自社だけで整理しにくい場合は、M&A比較ナビを活用し、D2CブランドやEC事業の売却相談に合う仲介会社を比較してください。

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