後継者不在とは?会社が選べる4つの対応と事業承継の進め方

「後継者が決まらず、自分の代で会社をたたむしかないのか」と不安を抱える経営者もいるでしょう。

結論として、後継者不在だからといって、廃業が決まっているわけではありません。

親族内承継や従業員承継、M&Aによる第三者承継などの選択肢があります。

本記事では、2025年の後継者不在率や、準備を先送りするリスク、会社が選べる4つの対応を解説します。

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目次

後継者不在とは

後継者不在とは、会社や事業を引き継ぐ人が決まっていない状態です。

帝国データバンクの後継者不在率は、後継者が「いない」企業だけでなく、「未定」の企業も対象にしています。

後継者不在と判断された会社が、すべて廃業を予定しているわけではありません。

中小機構が運営する事業承継・引継ぎポータルでは、事業承継の主な方法として、親族内承継・従業員承継・M&Aによる第三者承継の3つを挙げています。

候補者が決まっていない段階でも、会社の将来像や引退時期を整理し、複数の選択肢を比べることが大切です。

2025年の後継者不在率と推移

帝国データバンクによると、2025年の後継者不在率は50.1%です。

全国・全業種で事業承継の実態を分析できる約27万社を対象とした結果、後継者が「いない」または「未定」の企業は13.8万社でした。

2025年の後継者不在率は7年連続で前年を下回り、2016年以降の過去10年間では最低の水準となりました。

ただし、中小企業は51.2%、小規模企業は57.3%と全国平均を上回っています。

全国平均が低下していても、自社の準備を先送りしてよいとは限りません。

後継者不在の会社が早めに準備したい4つの理由

後継者不在のまま準備を先送りした場合に考えられるリスクは、以下の4つです。

後継者が決まっていないだけで、事業を継続できなくなるわけではありません。

一方、引退や体調の変化が迫ってから検討を始めると、候補者の育成や買い手探しに使える時間が短くなります。

経営者が急病になると事業の引き継ぎが難しくなる

意思決定や取引先との関係が経営者個人に集中している会社では、経営者の急病によって事業運営や引き継ぎが滞る可能性があります。

たとえば、経営者だけが資金繰りや主要顧客との交渉を把握している場合、ほかの役員や従業員がすぐに代行できるとは限りません。

事業承継では、候補者の選定だけでなく、育成や権限の移行、業務の共有にも期間が必要です。

経営者の体調に問題がないうちに、経営判断を代行する人と引き継ぐ業務を決め、契約書や借入関係書類の保管場所も共有しましょう。

事業の縮小や廃業によって従業員・取引先に影響が及ぶ

事業を引き継がずに縮小・廃止すると、従業員の雇用や取引先との契約を継続できない場合があります。

一方、第三者へ事業を承継できれば、従業員の働く場や取引関係を残せる場合があります。

ただし、雇用や契約の継続が保証されるわけではありません。

事業を残したい場合は、従業員の雇用や主要取引の継続を希望条件として整理し、候補者や買い手と協議してください。

黒字でも廃業を選ぶ場合がある

利益が出ている会社でも、後継者や買い手が決まらなければ、休廃業・解散を選ぶ場合があります。

東京商工リサーチの調査では、2025年に休廃業・解散した企業のうち、直前期の損益が判明した企業の52.8%が黒字でした。

ただし、黒字だった休廃業・解散企業が、すべて後継者不在を理由に事業を終えたわけではありません。

将来の採算や経営者の健康状態など、判断の背景は企業ごとに異なります。

現在の利益だけで判断せず、後継者候補の有無や事業の将来性、廃業時の清算見込みも確認しましょう。

後継者難による倒産も発生している

後継者難が倒産の要因となる場合もあります。

帝国データバンクの「倒産集計 2025年報」では、2025年の後継者難倒産が503件確認されました。

前年の540件から6.9%減少したものの、3年連続で500件を超えています。

なお、ここでいう503件は、帝国データバンクが「後継者難倒産」として集計した倒産件数です。

計画的な休廃業・解散と倒産は同じではないため、混同しないようにしてください。

債務の支払いに不安がある場合は、事業承継だけでなく、事業再生や法的整理に詳しい弁護士などへの相談も必要です。

後継者不在の会社が選べる4つの対応

後継者不在の会社が選べる主な対応は、以下の4つです。

いずれか1つを最初から決める必要はありません。

たとえば、親族内承継を検討しつつ、難しい場合に備えて従業員承継やM&Aも調べるなど、複数の対応を比べましょう。

子どもや親族へ承継する

子どもや親族に経営を引き継ぐ方法は、親族内承継と呼ばれます。

経営者の理念や家族の事情を共有しやすい一方、親族であることだけを理由に決めるのは避けましょう。

本人に承継の意思があるか、経営を担う適性があるかを確認する必要があります。

また、経営権だけでなく、株式や事業用資産をいつ、どのように引き継ぐかも検討してください。

贈与・相続に伴う税負担に加え、株式や事業用資産が分散しないよう、遺留分を含めたほかの相続人との調整も必要になる場合があります。

役員や従業員へ承継する

社内の役員や従業員へ経営を引き継ぐ方法もあります。

事業内容や社内事情、取引先との関係を把握している人を候補にできる点が特徴です。

本人の意思と経営能力に加え、選定理由をほかの役員・従業員へ説明し、理解を得られるかも確認しましょう。

株式を買い取る場合は、後継者個人が取得資金を用意できない可能性があります。

借入金に経営者保証が付いている会社では、保証の解除や変更について金融機関との協議も必要です。

M&Aで第三者へ承継する

親族や社内に候補者がいない場合は、M&Aによって第三者へ事業を引き継ぐ方法があります。

買い手との合意内容によっては、事業や雇用、取引関係を残せる可能性があります。

ただし、希望する価格や時期、条件で買い手が見つかるとは限りません。

株式譲渡では、株主が買い手へ株式を譲渡します。

株式譲渡では株主が変わりますが、雇用主となる法人は同一です。そのため、従業員の雇用契約は原則として継続します。

一方、事業譲渡で労働契約を買い手へ承継するには、原則として従業員本人の承諾が必要です。

想定する手法を確認し、雇用や社名などの希望条件に優先順位を付けて交渉しましょう。

計画的に廃業する

承継先が見つからず、事業の継続も希望しない場合は、計画的な廃業を検討します。

法人を廃業する際は、事業を止めるだけでなく、解散や清算、税務などの手続きが必要です。

従業員への説明や取引の終了、在庫・設備の処分、債権回収、債務の支払いにも対応しなければなりません。

会社の資産だけですべての債務を支払えない場合は、通常の解散・清算手続きが難しくなる可能性があります。

資産や負債を確認し、廃業を決定する前に弁護士や税理士などへ相談してください。

後継者不在への対応方法を決める5つの手順

STEP
会社や事業を残したいか考える

まず、会社や事業を次の世代へ残したいかを考えます。

会社全体を残したい場合と、一部の事業や店舗、技術だけを残したい場合では、選べる方法が異なるためです。

会社全体の存続を希望する場合は、親族や従業員への承継、M&Aによる株式譲渡などを検討します。

一部の事業だけを残す場合は、事業譲渡も候補になります。

事業を終える意向がある場合は、債務や雇用への影響を確認したうえで、計画的な廃業を検討してください。

STEP
親族や従業員に承継の意思があるか確認する

親族や従業員に候補者がいる場合は、本人の承継意思を確認します。

経営者が後継者だと考えていても、本人が引き継ぎに同意しているとは限りません。

中小機構の事業承継・引継ぎポータルでも、後継者候補はいるものの本人の了承を得ていない企業では、候補者に引き継ぎの意思を伝えていないケースが半数を超えています。

会社の経営状況や求める役割、承継時期を説明し、本人の希望を聞きましょう。

意思を確認した後は、必要な経験や教育、株式取得資金などの課題を整理します。

STEP
引退時期と準備できる期間を整理する

経営者が引退したい時期を決め、準備期間を逆算しましょう。

中小機構の事業承継・引継ぎポータルによると、後継者への移行に3年以上かかると回答した企業は合計で5割超でした。

親族内承継や従業員承継では、候補者の育成や権限移行に時間が必要です。

M&Aでも、資料整理や買い手探し、条件交渉、調査などを行います。

希望時期までの成約や承継が保証されるわけではないため、引退が迫る前から準備を始めましょう。

STEP
雇用や社名など残したい条件を決める

事業承継によって残したいものを整理し、条件に優先順位を付けます。

主な条件は、以下のとおりです。

  • 従業員の雇用
  • 労働条件
  • 社名・屋号
  • 店舗の存続
  • 取引先
  • 経営者の退任時期 など

すべての希望を同時に満たせるとは限りません。

たとえば、価格よりも従業員の雇用を重視する場合は、買い手候補の提示額だけでなく、承継後の事業計画も確認する必要があります。

譲れない条件と調整できる条件を分け、候補者や買い手へ伝えましょう。

STEP
第一候補が難しい場合の代替案を用意する

第一候補の承継が進まなかった場合に備えて、代替案も決めます。

親族が辞退した場合は、役員・従業員承継やM&Aを検討できるでしょう。

M&Aで条件に合う買い手が見つからない場合は、譲渡対象の範囲や希望価格・条件を見直します。

それでも承継が難しい場合は、計画的な廃業も選択肢です。

候補者の意思や会社の業績、経営者の健康状態は変わる可能性があります。

第一候補だけにこだわらず、一定の期限ごとに他の選択肢も検討しましょう。

まとめ|後継者不在の会社は早めに事業承継の準備を始めよう

後継者不在だからといって、廃業が決まっているわけではありません。

子どもや親族への承継、役員・従業員への承継、M&Aによる第三者承継などを検討できます。

事業を引き継がない場合は、従業員や取引先、債務への影響を確認したうえで、計画的に廃業する方法もあります。

まずは、会社や事業を残したいか、いつ引退したいか、何を引き継ぎたいかを整理しましょう。

候補者が決まっていない段階から相談すると、複数の対応を比べる時間を確保できます。

M&Aによる第三者承継を検討しているものの、どの仲介会社に相談すべきか迷う場合は、株式会社M&Aミライ・パートナーズが運営する「M&A比較ナビ」を活用してみてください。

M&A比較ナビでは、仲介会社の実績や得意領域などを踏まえ、自社に合うM&A仲介会社を無料で紹介しています。

「まずは話を聞いてみたい」という段階でも相談できるため、第三者承継の可能性を確認したい方はご活用ください。

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後継者不在に関するよくある質問

後継者不在に関するよくある質問に回答します。

後継者不在はいつ相談すべきですか?

引退を考え始めた時点や、候補者が決まっていないと分かった時点で相談しましょう。

候補者の育成や権限移行には数年かかる場合があり、M&Aでも買い手がすぐに見つかるとは限りません。

相談した時点で、承継や会社売却を決定する必要はありません。

経営者の年齢だけで時期を決めず、健康状態や事業の将来性、候補者の意思も踏まえて準備を始めてください。

後継者不在はどこに相談すべきですか?

承継方法が決まっていない場合は、事業承継・引継ぎ支援センターや顧問税理士、取引金融機関などへ相談できます。

事業承継・引継ぎ支援センターは、国が47都道府県に設置する公的な相談窓口です。

親族内承継や従業員承継、第三者承継に関する相談へ無料で対応しています。

M&Aを検討する場合は、M&A仲介会社やFAも候補です。

仲介会社によって得意な業種や企業規模、料金体系が異なるため、契約前に複数社を比較しましょう。

相談先を自分だけで選ぶのが難しい場合は、「M&A比較ナビ」で条件に合うM&A仲介会社の紹介を受けられます。

相談から紹介までは無料であるため、情報収集の段階でも活用できます。

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