M&Aは、会社の成長や事業承継を実現する有効な手段です。
しかし進め方を誤ると、契約後に想定外の負債が発覚したり経営統合がうまく進まなかったりと、トラブルに発展する可能性があります。
この記事では、M&Aトラブルの主な原因と具体的な事例、回避するためのポイントを解説します。
M&Aを検討する経営者は、株式会社M&Aミライ・パートナーズが運営する「M&A比較ナビ」をご活用ください。
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M&Aトラブルとは何か
M&Aトラブルとは、M&Aの検討・交渉・契約・経営統合の各段階で生じる、当事者間の認識のズレや契約上・経営上の問題です。
交渉中の条件面での対立から成約後の統合プロセスにおける混乱まで、内容は多岐にわたります。
トラブルが表面化すると、交渉が打ち切られたり成約後に訴訟へ発展したりする恐れがあります。
特に中小企業のM&Aでは、経営者同士の信頼関係が交渉に大きく影響するため、条件や認識を口頭確認だけで済ませず、契約書や書面に明確に残すことが重要です。
典型的なパターンの事前把握が、円滑なM&Aの実現につながります。
なおトラブルの規模は案件によって異なり、当事者同士の話し合いで解決できるものから、弁護士を介した交渉や訴訟にまで発展するものまでさまざまです。
どのようなトラブルが起こり得るのかを知っておくことで、契約書の内容や交渉の進め方を見直すきっかけにもなります。
M&Aトラブルが起こる主な原因
M&Aトラブルの背景には、当事者間の情報共有不足や、調査・確認プロセスの不備があります。
交渉や成約を急ぐあまり、必要な調査・確認が不十分になると、成約後のトラブルにつながるおそれがあるでしょう。
また、譲渡企業と譲受企業の間で目的や優先事項が異なる場合、条件のすり合わせが不十分なまま契約に進んでしまうケースもあります。
ここでは、代表的な4つの原因を紹介します。
デューデリジェンスの不足
デューデリジェンスとは、譲受企業が譲渡企業の財務・法務・事業状況を調査するプロセスです。
デューデリジェンスが不十分だと、簿外債務や訴訟リスクを見落とす可能性があります。
また、費用や日程を優先して必要な調査項目を省くと、重要なリスクを把握できないまま成約するおそれがあります。
税務上の申告漏れや未払い残業代、社会保険の未加入などが判明すれば、成約後に追加の納税や支払いが必要になるでしょう。
重要情報の開示不足
決算書に記載されていない簿外債務や、将来発生し得る偶発債務が成約後に判明するケースです。
簿外債務とは、未払い残業代など、決算書に計上されていない債務です。
一方、偶発債務とは、係争中の訴訟や保証債務など一定の条件が成立した場合に負担が生じる可能性のある債務を指します。
譲受企業にとっては想定外の負担となり、信頼関係が崩れる要因になります。
訴訟中の案件や未払いの残業代など、譲渡企業自身が把握しきれていない債務も存在するため、専門家による調査が欠かせません。
成約後に債務が判明すると譲受企業に追加負担が生じるほか、最終契約の内容に応じて、売り手への補償請求や損害賠償請求につながる可能性があります。
情報管理体制の不備
交渉中の情報が外部に漏れると、取引先や従業員に不安が広がります。
秘密保持契約を結んでいても、社内管理体制に不備があると漏洩は起こり得ます。
噂として広まってしまうと、取引先との関係悪化や従業員の不安・離職につながり、成約前から企業価値が損なわれるかもしれません。
関係者への説明が追いつかないまま情報が拡散すると、交渉自体の継続が難しくなる場合もあるため、情報管理の徹底が求められます。
経営者間の認識のズレ
譲渡条件や譲渡後の処遇について、双方の理解が食い違うケースもあるでしょう。
口頭でのやり取りに頼りすぎると、後から「言った・言わない」の対立に発展するおそれがあります。
特に譲渡後の経営者の役職や退任時期は、細かい条件を書面化して、最終契約や関連契約に明記することが重要です。
譲渡後も「一定期間経営へ関与したい売り手」と「早期に経営体制を刷新したい買い手」との間で方針が食い違う場合があります。
反対に、売り手が早期退任を望んでも、買い手が長期間の引継ぎを求めるケースもあります。
M&Aで起こり得るトラブルの具体例
M&Aトラブルは、財務や法務に関わるものから成約後の組織運営に関わるものまで、さまざまです。
自社に当てはまる項目がないか、確認しながら読み進めてください。
財務・法務に関するトラブル
成約後に未払いの税金や訴訟リスクが発覚し、譲受企業が損害賠償を求める事例です。
税務申告の誤りや追徴課税のリスク、係争中の訴訟などが判明し、最終契約の内容に応じて買い手が売り手へ補償や損害賠償を求めるケースがあります。
表明保証や補償の範囲が契約書に明確に定められていないと、成約後に問題が判明した際、売り手へどのような請求ができるかをめぐって争いになるでしょう。
企業価値を十分に検証せず、実態に対して高い価格で買収すると、投資回収が難しくなる可能性もあります。
借入れによって買収資金を調達した場合は、元利金の返済が買い手の資金繰りを圧迫することもあります。
適正な企業価値評価を行わないまま契約を進めると、買収後の収益性や投資回収をめぐる問題につながりかねません。
PMI(経営統合)に関するトラブル
PMIとは、M&Aの目的を実現するため、成約後に経営方針や組織、業務プロセス、企業文化などを調整・統合する取り組みです。
統合方針や責任者が明確でないままPMIを進めると、現場の意思決定が滞り、業務効率や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また両社の企業文化が異なる場合、社員の反発を招くおそれもあります。
PMIの基本方針や責任者、優先課題を成約前から検討していないと、成約後に方向性がぶれ、現場の混乱が長期化しやすいです。
人材流出に関するトラブル
M&A後にキーパーソンが退職し、顧客対応や技術承継、事業運営に支障が生じるケースです。
特に技術者や営業の中核人材が抜けると、取引先との関係維持や事業運営そのものに支障が出る場合もあります。
成約後に人事制度や待遇を急激に変更すれば、従業員の不安や不満が高まり、モチベーションの低下や離職につながるでしょう。
なお、労働契約の承継方法や労働条件を変更する際の手続きは、株式譲渡や事業譲渡などの手法によって異なります。
契約内容に関するトラブル
価格調整条項や分割払い、アーンアウトなどの条件について双方の解釈が食い違い、支払額や支払時期をめぐって対立するケースです。
契約書の文言があいまいだと、成約後の紛争リスクが高まります。
分割払いの条件や表明保証違反時の対応など、細部を詰めずに契約すると、後から解釈の相違が浮き彫りになります。
競業避止義務の範囲や違反時のペナルティなど、記載が抽象的な条項も後日の紛争の火種になりやすいため、注意が必要です。
競業避止義務の内容はM&Aの手法や契約によって異なるため、過度な制限になっていないかも含めて専門家へ確認することが重要です。
M&Aトラブルを未然に防ぐポイント
M&Aトラブルを未然に防ぐには、事前準備と専門家の活用が欠かせません。
デューデリジェンスでは、企業規模や業種、M&Aの手法に応じて調査範囲を設定し、財務・法務・税務・労務・事業など重要なリスクの確認が大切です。
最終契約ではデューデリジェンスの結果を踏まえ、表明保証や補償、解除事由などを具体的に定めることが重要です。
交渉過程では、交渉中の合意事項は書面に残し、最終的な条件は最終契約書に定め、双方の認識をすり合わせます。
PMIについては、成約前から統合計画を具体化しておくと、成約後の混乱を抑えられます。
信頼できるM&A仲介会社やアドバイザーの選定も、トラブル防止につながる要素の一つです。
M&A支援機関を選ぶ際は、担当者の経験や支援範囲、利益相反への対応などを確認しましょう。
重要な契約条件については、必要に応じて弁護士などの第三者専門家へ相談することも大切です。
複数の候補と面談し、実績や料金体系、担当者との相性を比較したうえで契約先を決めると、後々のミスマッチを防ぎやすくなります。
トラブルが発生した場合の相談先
トラブルが起きた場合は、弁護士や公認会計士へ相談してください。
契約違反や補償請求、契約解除、訴訟などの問題は、M&Aに詳しい弁護士へ早めに相談しましょう。
企業価値評価や簿外債務、会計処理などの問題は、公認会計士や税理士への相談が適しています。
M&A仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、取引経緯の整理や相手方との連絡調整を相談可能です。
ただし、契約の法的解釈や損害賠償、訴訟対応については、弁護士へ相談する必要があります。
契約上の通知期限や請求期限が定められている場合もあるため、自己判断で対応せず、早い段階で専門家へ相談することが重要です。
公的な相談先として、全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」があります。
事業承継やM&A全般の相談に原則無料で対応し、必要に応じて弁護士や税理士、M&A支援機関などと連携しているため、初めてのトラブル対応でも心強い存在です。
相談先によって得意分野が異なるため、トラブルの内容に応じて使い分けると、必要な対応を整理しやすくなります。
まとめ|M&Aトラブルは事前準備と専門家への相談で防げる
M&Aトラブルは、デューデリジェンス不足や重要情報の開示不足、契約条件の認識違いなどから起こります。
財務・法務のトラブルだけでなく、PMIや人材流出といった成約後の課題も見逃せません。
事前準備の徹底と契約書の内容の精査が、トラブル回避へとつながります。
不安な点があれば、早めに専門家へ相談しましょう。
準備段階から必要な確認を重ねることが、円滑なM&Aの実現につながります。
どの専門家やM&A仲介会社に相談すればよいか迷う場合は「M&A比較ナビ」を活用し、自社の業種や規模に合った支援実績を持つパートナーを比較してみましょう。
M&A仲介会社によっては、初期相談や簡易的な企業価値算定を無料で受け付けているため、まずは自社の価値を把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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M&Aトラブルに関するよくある質問
- M&Aトラブルが起きた場合、まず何をすべきですか?
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トラブルの内容を整理し、関連するやり取りやメールを記録に残してください。
記憶だけに頼ると、後日の話し合いで不利になる場合があります。
メールやチャット、契約書、会議メモなどの資料も保管し、事実関係を整理しておきましょう。
状況を整理したうえで、弁護士など専門家へ早めに相談すると、対応の方向性を判断しやすくなります。
感情的な対立に発展する前に、事実関係を客観的にまとめておくことも大切です。
- 中小企業のM&Aで特に多いトラブルは何ですか?
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中小企業のM&Aでは価格や契約条件の認識違い、情報開示の不足、情報漏洩、PMIなどをめぐるトラブルが生じる可能性があります。
ほかにも、情報漏洩による取引先や従業員との関係悪化、経営者同士の認識のズレによる交渉停滞もよく見られます。
十分な準備を行わずに交渉を進めると、契約条件や認識の違いが後から判明する可能性があるため注意が必要です。
また後継者不在で早期の事業承継を希望する場合でも、十分な調査や契約内容の確認を行うことが重要です。
- 悪質な仲介会社を見分ける方法はありますか?
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契約を急かしたり、重要事項の説明が不十分だったりする場合は慎重に判断してください。
契約内容や実績、料金体系などを事前に確認し、必要に応じて口コミも参考にするとよいでしょう。
判断に迷う場合は、公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターへ相談する方法もあります。
複数の仲介会社を比較し、料金体系や担当者の対応の見極めるも、トラブル回避につながります。
悪質なM&A仲介会社を避けたい場合は「M&A比較ナビ」をご活用ください。
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