シリアルアントレプレナーとは、新しい事業を何度も立ち上げる起業家のことです。
一つの会社を長く経営し続けるだけでなく、複数の事業に関わる点が特徴です。
事業を成長させたあとに会社売却や事業譲渡を行い、得た経験や資金を次の事業に活かすケースもあります。
本記事では、シリアルアントレプレナーの意味や特徴、M&Aとの関係を解説します。
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シリアルアントレプレナーとは
シリアルアントレプレナーとは、日本語で「連続起業家」とも呼ばれる、新しい事業を何度も立ち上げる起業家のことです。
たとえば、事業を立ち上げて軌道に乗せたあと、会社売却や事業譲渡を行う場合があります。
売却や譲渡で得た経験や資金をもとに、別の事業へ挑戦していくケースがあります。
ただし、シリアルアントレプレナーかどうかは、立ち上げた会社の数だけで決まるわけではありません。
事業の立ち上げや成長に関わったあと、売却・撤退・経営の引き継ぎなどを経て、次の事業に経験を活かす点も特徴です。
シリアルアントレプレナーに多い4つの特徴
シリアルアントレプレナーとして複数の事業を立ち上げる起業家には、共通する思考や行動の傾向があります。
一度の成功に留まらず、新しい挑戦を続けられる背景には、性格やスキルだけでなく、行動習慣や判断の早さも関係しています。
シリアルアントレプレナーに多い特徴は、以下の4つです。
1. 事業アイデアを形にする行動が早い
シリアルアントレプレナーは、思いついた事業アイデアを机上で長く考え込まず、素早く形にして市場の反応を確かめる傾向があります。
いきなり大規模な開発へ投資せず、小さく検証を始めるケースが一般的です。
簡易的な試作品や事前登録ページを作成し、最小限のコストで需要の有無を検証します。
検証の基準となるのは、実際の申し込みや問い合わせの数です。
実際の反応をもとに、本格的な事業化を進めるか、あるいは修正・撤退するかを客観的に判断します。
完璧な事業計画ができるまで待つのではなく、小さくテストを繰り返して市場の事実を集める姿勢が特徴です。
2. 自分で抱え込まずチームを作る
シリアルアントレプレナーは、事業を一人で抱え込みません。
開発や財務、採用など、自分だけでは担いきれない領域の人材を巻き込みながら、組織を広げていく傾向があります。
立ち上げ期は企画や開発、資金調達などの業務が同時に発生する時期です。
すべての意思決定を起業家本人が担うと、事業のスピードが低下しやすくなります。
たとえば自身が営業に強い起業家であれば、開発や財務に長けた人材を早い段階でチームに加えます。
自身の弱みを補完できるメンバーへ権限を委譲し、各領域の専門性を引き出す体制構築が一般的です。
特定の個人に依存しない事業体制は、買い手企業に対して事業継続性を説明する材料になります。
3. 事業の売却や撤退を前向きに考えられる
シリアルアントレプレナーは、事業の売却や撤退を単なる失敗とは捉えません。
次の事業へ資金や経験を還元するための、前向きな経営判断として位置づける傾向にあります。
立ち上げた事業が一定の規模に達した際、自社単独での成長に限界を感じる前に会社売却を選択するケースが代表的です。
豊富な資金力や販売網を持つ買い手企業へ事業のバトンを引き継ぐことで、サービス拡大を目指す場合もあります。
撤退や売却を判断する際は、直感や感情だけに頼らず、事業の成長性や雇用維持、売却価格などを客観的に比較することが重要です。
4. 失敗経験を次の事業に活かす
シリアルアントレプレナーは、過去の失敗経験を単なる挫折で終わらせず、次回の事業展開における重要な判断材料として活かす傾向にあります。
たとえば、前回の事業で開発に時間をかけすぎた反省があれば、次回は最小限の機能で素早くテストを行う判断へと切り替えるケースです。
組織作りで苦戦した経験を持つ場合も、創業の初期段階から明確な役割分担や評価基準を構築する行動につながります。
過去の要因を客観的に振り返り、顧客選定や資金配分、人材配置の戦略を的確に見直し続けなければ、異なる事業でも同じミスを繰り返す可能性があります。
失敗から得た教訓を分析し、次の経営判断へ論理的に反映させる姿勢がシリアルアントレプレナーの強みです。
シリアルアントレプレナーとして有名な日本人
日本にも、複数の事業を立ち上げ、事業拡大や売却、新規挑戦を続けてきたシリアルアントレプレナーが存在します。
それぞれが異なる業界で実績を残しており、起業から事業展開、次の挑戦へ移る過程に学べる要素があります。
シリアルアントレプレナーとして知られる日本人は、以下の3名です。
家入一真氏
日本の代表的なシリアルアントレプレナーの実例として、家入一真氏の実績が挙げられます。
家入一真氏は2003年に株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を創業し、2008年にJASDAQ上場を果たしました。
その後も起業の歩みを止めることなく、2011年に株式会社CAMPFIREを設立しています。
翌2012年にはBASE株式会社の共同創業者として参画し、同社も2019年に東京証券取引所マザーズへの上場を実現しています。
レンタルサーバー事業を皮切りに、クラウドファンディングやネットショップ作成サービスなど、多岐にわたる領域で事業を牽引してきた経歴が特徴です。
近年は自らの起業にとどまらず、ベンチャーキャピタルであるNOW株式会社を設立しました。
投資を通じた次世代の起業家支援にも注力し、スタートアップ業界全体の支援にも取り組んでいます。
堀江貴文氏
次に紹介するシリアルアントレプレナーは、堀江貴文氏です。
1996年に有限会社オン・ザ・エッヂを設立し、2002年に旧ライブドアを買収し、2004年に株式会社ライブドアへと商号変更を行った経歴を持ちます。
現在はSNS media&consulting株式会社のファウンダーとしてビジネスコミュニティ事業を牽引するほか、ロケット開発を手がけるインターステラテクノロジズにも関わっています。
活動の幅はインターネット関連事業にとどまりません。
アプリのプロデュースや「堀江貴文イノベーション大学校」の主宰、自ら編集長を務めるメディア「ZEROICHI」の運営など、プロジェクトを同時並行で推進する行動力が特徴です。
単一の企業経営に固執せず、異なる領域で新しい事業やプロジェクトに関わる姿勢は、シリアルアントレプレナーの例として紹介しやすい人物です。
孫泰蔵氏
孫泰蔵氏は、日本のシリアルアントレプレナー、投資家として知られています。
東京大学在学中の1996年にYahoo! JAPANの立ち上げに関わったあと、コンテンツ制作やサービス運営を支援するインディゴ株式会社を設立しました。
1998年には、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の前身となるオンセール株式会社の設立に参画し、代表取締役に就任しました。
2009年にはスタートアップ・アクセラレータのMOVIDA JAPAN株式会社を設立し、2013年にはMistletoe株式会社を設立しています。
孫氏は、自ら事業を立ち上げるだけでなく、起業家の育成やスタートアップへの投資にも関わっています。
創業、投資、育成の面からスタートアップに関わってきたため、シリアルアントレプレナーの幅広い活動を説明しやすい人物です。
シリアルアントレプレナーになるには?
シリアルアントレプレナーとして連続的に事業を立ち上げるには、起業のたびに経験を積み重ねながら、次の事業へつなげる仕組みを整えておく必要があります。
一度の成功や失敗で終わらせず、再現性のあるサイクルを作ることがポイントです。
シリアルアントレプレナーになるためのポイントは、以下のとおりです。
1. 小さく事業を立ち上げる経験を積む
シリアルアントレプレナーになるには、小規模な事業の立ち上げ経験を積むアプローチが一般的です。
最初から実店舗や大規模システムへ多額の資金を投じると、失敗したときの損失が大きくなります。
簡易的な試作品や事前登録ページを活用してテスト販売を実施し、市場の需要を検証するプロセスが重要です。
「小さく始めて改善を繰り返す」という考え方は、「リーンスタートアップ」の概念にも通じています。
最小限の製品で顧客のリアルな反応を探り、素早く改善を回す行動が、事業の失敗リスクを抑えることに効果的です。
最初から完成形を目指しすぎると、時間やコストが大きくなるおそれがあります。
小さくテストを繰り返して蓄積した実績は、次の起業時のターゲット選定や資金配分を的確に見極める有効な判断材料です。
2. 資金調達や資本政策を学ぶ
シリアルアントレプレナーへのステップとして、資金調達と出資比率や経営権をどう設計するかという「資本政策」の知識が求められます。
連続した起業を実現するには、将来の事業売却(EXIT)を見据えた経営権のコントロールが必要です。
投資家からの出資は、一般的な融資のような返済義務を伴わない一方で、株式の交付により持株比率が下がる場合があります。
持株比率が大きく低下すると経営の意思決定スピードを鈍らせてしまい、将来的なM&Aの交渉において不利な状況を招くおそれがあります。
一方で、金融機関から融資を受ける場合、利息や返済の負担は生じるものの、株式の希薄化を防ぐことは可能です。
それぞれの調達手法が将来の経営権やイグジット戦略に与える影響について、事前に把握しておきましょう。
初期段階から資本設計を考えられると、次の起業やM&Aの選択肢を残しやすくなります。
3. 事業を任せられる人材を育てる
シリアルアントレプレナーへの重要なステップとして、既存事業を任せられる中核となる人材の育成が挙げられます。
経営者個人に意思決定や顧客対応が集中する属人的な組織では、新たな事業の立ち上げへ十分な時間を割くことができません。
営業や採用といった各部門に責任者を配置し、権限を段階的に委譲するプロセスが必要です。
業務手順や判断基準をマニュアルし、代表者が不在でも日常業務が自走する体制を構築しなければなりません。
特定の個人に依存しない強固な組織基盤は、将来的なM&A(事業売却)における企業価値を説明しやすくなります。
経営者が抜けても収益を生み出せる事実が、買い手企業に対して事業継続性の高さを客観的に証明する強力な材料となるためです。
4. 売却や撤退の基準を早めに決める
シリアルアントレプレナーになる方法の一つは、売却や撤退の基準を早めに決めることです。
判断基準がないと、事業の見直しが遅れ、資金や時間を使いすぎるおそれがあります。
たとえば、次のような基準を事前に決めておく方法があります。
- 6ヶ月以内に黒字化の見通しが立たなければ撤退を検討する
- 事前に定めた売上や利益に達したら売却相談を始める
- 創業者が抜けても受注・納品・顧客対応が回る体制になれば譲渡を検討する
売却を選択肢に入れる場合は、希望価格や従業員の処遇、サービスの継続などを整理しておくと判断しやすくなるでしょう。
売却や撤退は、失敗を認める行為とは限りません。
次の事業へ資金や経営資源を振り向けるための経営判断として捉えられる場合もあります。
5. M&Aの相談先を複数比較する
シリアルアントレプレナーになる方法の一つは、M&Aの相談先を複数比較することです。
相談先によって、買い手候補や手数料、支援範囲などは異なります。
たとえば、1社だけに相談すると、提示された売却価格や条件が妥当か判断しにくくなります。
複数の仲介会社やフィナンシャル・アドバイザーに相談すると、提案内容を比べやすくなるでしょう。
支援内容や手数料に疑問がある場合は、別の専門家へ相談する「セカンドオピニオン」の活用も選択肢の一つです。
売却条件は、次の起業資金だけでなく、譲渡後の関与期間や売却後に同業種で事業を行えない契約(競業避止義務)にも関わります。
価格だけでなく、手数料の発生時期や譲渡後の関与条件まで確認しておくと、相談先を比較しやすくなります。
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企業がシリアルアントレプレナーと関わるときの注意点
シリアルアントレプレナーから事業を譲り受けたり、出資や提携を検討したりする場合、相手が次の起業を見据えて動いている前提を踏まえる必要があります。
譲渡後の体制や条件を曖昧にしたまま進めると、想定外のトラブルにつながりかねません。
企業がシリアルアントレプレナーと関わる際に押さえておきたい注意点は、以下の3つです。
事業への関与期間を事前に確認する
シリアルアントレプレナーと関わる際は、買収後や提携後の関与期間を契約前に確認する必要があります。
複数の事業や投資に関わる人物の場合、想定より早く経営から離れる可能性があるためです。
たとえば、会社売却後も顧問として残るのか、経営会議に参加するのか、何ヶ月間関与するのかを確認します。
従業員や取引先への説明を誰が担うのかも、事前に整理しておくと混乱を抑えやすくなるでしょう。
M&Aでは、クロージング後も売り手側の協力が必要になる場面があります。
関与期間が曖昧なままだと、経営判断が遅れたり、顧客対応の担当者が不明確になったりするおそれがあります。
契約前に関与期間や役割、報酬、引き継ぎ範囲を整理しておくことが重要です。
従業員や取引先への影響を確認する
シリアルアントレプレナーと関わる際は、従業員や取引先への影響を事前に確認しましょう。
買収後に創業者がどの程度関与するかによって、従業員や取引先の不安感に影響する場合があります。
たとえば、創業者が早期に退く場合、従業員は雇用や評価制度に不安を持ちやすくなるでしょう。
主要取引先からは、担当者や契約条件の変更について確認を求められる場合があります。
契約前には、説明の時期、説明する人、雇用条件、取引条件の変更有無を整理しておくと、関係者からの質問に対応しやすくなります。
価格だけでなく譲渡条件も比較する
シリアルアントレプレナーと関わる際は、価格だけでなく譲渡条件も比較する必要があります。
提示額が高くても、売却後の関与期間や従業員の処遇によって、買収後の運営負担が変わるためです。
たとえば、譲渡価格が高い提案でも、創業者に長期間の残留を求める条件が付くことがあります。
反対に、価格は少し下がっても、従業員の雇用維持や取引先対応が明確に示される提案もあります。
譲渡条件を比べる際に確認したい項目は、次のとおりです。
- 売却後の関与期間
- 従業員の雇用条件
- 取引先との契約継続
- 表明保証や競業避止義務など、売り手側が負う義務の範囲
譲渡条件を比較すると、金額だけでは見えにくいリスクを整理しやすくなります。
契約前に複数の提案を比べておくと、受け入れられる条件と譲れない条件を判断しやすくなるでしょう。
まとめ|シリアルアントレプレナーを理解してM&A戦略に活かそう
シリアルアントレプレナーは、事業の立ち上げや売却、撤退を次の挑戦につなげる起業家です。
企業が関わる際は、価格だけでなく、売却後の関与期間や従業員の処遇、取引先への影響まで確認する必要があります。
条件を十分に比較しないまま進めると、買収後の引き継ぎや運営で想定外の負担が生じるおそれがあります。
相談先に迷う場合は、M&A比較ナビの活用も選択肢の一つです。
費用相場や専門性をふまえて仲介会社を比較し、自社の希望条件に合う相談先を整理できます。
売却や買収を具体的に進める前に、まずは相談先の候補を整理し、自社に合う進め方を確認してみてください。
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シリアルアントレプレナーに関するよくある質問
以下では、シリアルアントレプレナーに関するよくある質問を紹介します。
- シリアルアントレプレナーと起業家の違いはなんですか?
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起業家とシリアルアントレプレナーの違いは、事業を立ち上げたあとに、次の事業へ挑戦していく点にあります。
起業家は新しい事業を立ち上げる人全般を指し、シリアルアントレプレナーは複数の事業を連続して立ち上げる起業家を指します。
一方で、事業を軌道に乗せたあと、売却や引き継ぎを経て次の事業を始めるのは、シリアルアントレプレナーによく見られる動きです。
複数の事業を立ち上げる過程で、会社売却や事業譲渡を選ぶケースもあるため、M&Aとの関係も深くなります。
- 会社売却はシリアルアントレプレナーに必要ですか?
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会社売却は、シリアルアントレプレナーに必須ではありません。
既存事業を後任に任せる、同じ会社内で別事業を立ち上げるなどの方法もあります。
一方で、会社売却は次の起業資金を作る手段になるでしょう。
ただし、売却価格や条件は事業の状況、買い手候補、相談先によって変わります。
売却を選択肢に入れる場合は、利益や顧客基盤、従業員の引き継ぎ体制を整理し、複数の相談先を比較することが重要です。
相談先に迷う場合は、M&A比較ナビを活用する方法もあります。
費用相場や専門性をふまえて仲介会社を無料で紹介しているため、パートナー探しの手間を減らしたい方は、一度問い合わせてみてください。
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